盛岡大附vs小高工
本塁打を放った、望月直也(盛岡大附)
盛岡大附がコールド発信
攻撃力に長ける盛岡大附(岩手1位)が、長所を発揮して7回コールド勝ちを収めた。
2回、盛岡大附は二死二塁から9番・及川豪のレフト前ヒットで先制した。1番・菜花大樹がライト前ヒットで続き、2番・斎藤塁は四球で満塁。3番・松本裕樹のセカンド内野安打で2点目を奪い、二死満塁のまま打席には4番・望月直也。ファウル、ボールでカウント1−1からの3球目。スライダーを捉えると、打球はレフトスタンドに吸い込まれた。高校通算31本目のホームランはグラウンドスラム。盛岡大附はこうして2回に一挙6得点し、試合の主導権を握った。
3回には連打と犠打で1死二、三塁からショートゴロの間に1点を加え、4回には3安打を集めて2点を追加した。
小高工(福島3位)の先発・菅野秀哉は最速138キロの直球と4種類の変化球を持つ180センチの長身右腕として福島県大会で注目を集めた。
5回からは変化球を多投し、無安打に抑えたが、それまでに被安打10で9失点。
菅野 秀哉(小高工)
盛岡大附・関口清治監督は「(小高工・菅野の)スピードボールを警戒していて、スピードガンを見ても来るなと思いました。それでも、ボールを投げさせることができて、ベンチもボールを見ることができ、次の回にはまってくれました。6点は出来過ぎです」と話した。
菅野は初回で打者5人に対して23球を投じていた。
小高工・峯岸聡監督は「菅野の調子はいまいちで、立て直すことができませんでした」と話し、菅野は「相手が上、挑戦者と思っていったけど、打たれすぎた。球も走っていなかった」と反省が口をついた。
とはいえ、5回以降はノーヒット。6回の望月の第4打席ではフォークを振らせて空振り三振に抑えた。これには手応えをつかんだ様子。夏に向けて「球速を上げて、コントロールもつけていきたい。特にストレートを磨いていきたいです」と見据えた。
小高工の攻撃は、盛岡大附のエース左腕・及川と土井堅斗の前に3安打と振るわず、三塁を踏めなかった。二回には二死から盛岡大附が守備のエラーを続け、1、2塁とチャンスを作ったが、三振で切り抜けられた。
「ピッチャーを含め、すべてにおいて、一回りも二回りも力負けしたなと思います」と峯岸監督。
福島の第3代表として12年ぶりの東北大会を戦った小高工。毎年、県内の上位に顔を出すチームだ。学校は福島県南相馬市小高区にあったが、東日本大震災の原発事故の影響で警戒区域に指定されたため、生徒は現在、同市原町区の仮設校舎に通う。3年生は震災直後の入学生で、部のモットーである「走姿心現」が掲げられている自校のグラウンドを思いっきり使ったことはない。
まだまだ現状は厳しいが、この敗戦を糧に、本番の夏に挑む。
(文=高橋昌江)