Interview

オークランド・アスレチックス 中島裕之選手

2013.02.18

第139回 オークランド・アスレチックス 中島裕之選手2013年3月25日

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 2012年12月18日、オークランド・アスレチックスと契約を結んだ中島裕之選手。いよいよキャンプインとなりました。
 今回は、そんな中島選手にバッティング時の体の使い方から、野球に対する考え方まで幅広くアドバイスをいただきました。

“仙骨を締める”がキーワード

オークランド・アスレチックス
中島裕之選手

――中島選手は低めの球をさばいて、ホームランにする印象が強いのですが、その時の体の使い方についてお伺いできればと思います。まず、上半身と下半身を連動させるために大切なポイントは何でしょうか?

中島 裕之選手(以下「中島」) イメージしやすく説明すると、まずは下半身に力を入れて、ボールとバットが当たるぐらいから、お尻に力を入れる。インパクト時に手を押し込むんですけど、同時にお尻の筋肉にも力を入れることが大事だと考えています。

――上半身への力みは必要ないのですね?

中島 そうですね。動きとしては、軸足のお尻をホーム方向に向けていきます。そこに力を入れていけばいいという考え方です。逆に、上半身におもいっきり力を入れても、バットが出にくくなるので、下半身に力を入れて、インパクト時に最も力が入るぐらいですね。上半身は力まないことが大切です。

――そういった動きが出来るようになるために、どんなトレーニングが重要になってくるのでしょうか?

中島 インナーマッスルを鍛えることです。体のバランスを整えるためにも重要ですね。いくら大きい筋肉ばかりを鍛えても、上手く体を使うことができないので、細かい筋肉を鍛えながら、大きな筋肉を鍛える。そのバランスが大事ですね。

バッティングにおいて仙骨を意識

――下半身に上手く力を伝えるためにも、股関節を上手に使うことが大事になってくると思いますが、その際のポイントというのはあるのでしょうか?

中島 仙骨を締めるというのが1つのポイントです。仙骨の場所というのは、だいたいお尻とおへその間ぐらいの場所にある骨なんですけど、そこを締めることによって、体がほぐれる。それと、下半身に力が入りやすくなりますね。僕は、バッティングにおいて、この仙骨を意識することはかなり大事なポイントだと思っています。

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[page_break:逆方向への飛ばし方&低めのさばき方]

逆方向への飛ばし方&低めのさばき方

「低めはアッパースイングのイメージで」

――逆方向に強い打球を打つためのポイントを教えていただけますか?

中島 僕も最初から打てたわけではなく、日々練習したことで、やっと打てるようになりました。ただ、力が伝わりやすい方向は人によって違うと思うので、ポイントは人それぞれだと思うんです。同じやり方で、全員が逆方向に強い打球を打てるとは限らないんですよね。
“僕の場合は”ということで話しますと、高校時代に右方向に打つために、まずライト方向に体重を乗せていき、足・手・腰と、ライト方向に向いてきたところで、ボールに力をぶつける。最初のうちはセカンドゴロ、ライト前ヒットと当てにいくだけ。まずはライト方向に飛ぶ角度を覚えるだけでOKです。次に、フライを打って角度を上げていって、体の力を入れるタイミングを練習しながら覚えていきました。

――低めを打つのが上手な中島選手ですが、スイング時のポイントは?

中島 低めはアッパースイングのイメージで、下に落とすだけなんですけど、アッパー気味にいけば、真ん中の球を叩くのと同じ角度になります。小さい時からそういう感覚で打っていますね。投手は低めに投げろといわれて、低めに投げる練習をしているので、そこに投げてくるボールを打とうと練習を重ねていった結果、低めに強くなったと思います。

――意識を持った繰り返しの練習が何よりも大事なのですね。では、シーズンに向けて調子を上げていくために、特別な練習はされましたか?

中島 ロングティー、トスバッティングぐらいで、特別な練習はしていませんが、プロに入ってからは、『どこに打つのか』という目的を持って練習はしています。
ライト方向へ打つ練習を重ねていったり、一死満塁のチャンスの場面を想定して、ここは犠牲フライで勝ち越しを狙おうなど、シチュエーションを考えてやっていくことが大切な練習だと思っています。そうすることによって、実戦でも打てるようになりますね。練習では、イメージしながら打つことが大事だと思います。

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[page_break:色々な選手のフォームを真似てみよう]

色々な選手のフォームを真似てみよう

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――中島選手のように、自分の軸をもってバッティングフォームを見つけるために、何をヒントにして見つけていけばいいのでしょうか?

中島 まずは、自分がどういう打者になりたいかですね。ホームラン打者になりたいならば、体格は関係ないので、どうやったら飛ばせるかなと考えながらやっていけばいいですし、高校生と大学生の間では伸びしろは本当に大きくて、別人のように変わっていくこともあります。まずは、目標を見つけて、どうすればいいかを考えたらヒントは見つかっていくはずです。

――例えば、プロ野球選手のフォームをお手本にする場合は、どういったポイントを真似てみるのがいいのでしょうか?

中島 遊びでもいいので、いろいろな選手の真似をしてみてください。そしたら自分の感覚に合うフォームがあるかもしれない。僕も学生時代は、よく真似していましたね。ソーサとか、マグワイアとか。その時はホームランが70本飛び出るニュースが出ていたので真似をして、それをやりながら試合に出たことがあります。とくに、打つまでの“構え”を真似して、あとは自分の感覚で打っていきます。今もいろんな選手の真似をしていますよ。

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[page_break:勝負強い打者になるために]

勝負強い打者になるために

――中島選手は得点圏に強いバッターですが、プレッシャーのかかる場面ではどんな気持ちで臨んでいるのですか?

中島 チームには、他にも打てる打者もいる中で、自分に回ってきたわけですから、打ってやろうと決めて打席に立っています。

――気持ちの切り替えというのはどのように行っているのですか?

中島 打てなくても結果で引きずることはないですね。プロ野球は毎日試合がありますので、打てなくても、次の試合が始まります。
 今の時代、4割ではなくて、3割打てたら良しとされる時代です。打撃においては、ほとんどアウトになるものなので、打てなかったことで、深く考えすぎる必要はないですね。

中島選手から高校生へメッセージ

「プロに行きたい気持ちで毎日練習しました」

――中島選手は、高校時代はどんな目標を持って野球に取り組んでいたのですか?

中島 僕は公立校(伊丹北)出身でしたので、他に強い学校もありましたけど、強豪校といっても結局は同い年の選手ですし、負けていれられないなと思いました。当時から、プロに行きたい気持ちは強く持っていましたね。

――日々成長するために、大事なことはどんなことだと思いますか?

中島 練習でもそうなんですけど、違うことを取り入れてみることですね。目標は、すぐに達成できるものではありませんので、何か自分が決めて取り入れたものは、数多くやらなくてもいいので、毎日続けることが大切です。辛いと思ったら、本数を少なくしてでもいいので、毎日続けてもらいたい。それをやることで、春先の試合や最後の夏にも生きてくるはずです。

現状に満足せずに、常に新しいものや考え方を取り入れ続ける中島選手だからこそ、NPBでも大きな成績を収めてきました。MLBでの活躍も期待しています。中島裕之選手、ありがとうございました。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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