試合レポート

小禄vs首里

2012.11.14

小禄vs首里 | 高校野球ドットコム

懸命なグランド整備をする

反撃のチャンスをほぼ与えなかったエースの好投で小禄が30年振り2度目の4強!

今年50周年(1963年創立)を迎える小禄高校。対するは琉球王府が解体され首里中学校として歩みだしてからも132年が経つ古豪首里高校。
そんな両校は同じアイボリーのユニフォーム、胸に英語での校名表記も同じならば、この1年生大会の予選も共に2位通過。
さらに小禄が勝てば30年振りの、首里が勝てば34年振りのベスト4進出となる。
ここまで似通っているならば、さぞかし試合も白熱した好ゲームになるのではないだろうかと期待したが、果たしてその通りの展開を見せてくれた。

と、その前に。朝からの大雨で、グランドコンディションが危ぶまれ月曜へスライドか?との危惧もあったが、小康状態になった9時半頃から沖縄県高野連の先生方と、両校の2年生、さらに地元の嘉手納高校野球部も友情支援として加わり懸命なグランド整備。その甲斐あって外野などは完璧ではないが、何とか試合が出来る状態にまで回復させ2時間遅れての第一試合開始となった。
試合の裏にはこういった影の努力がある。ホントに頭が下がる思いでいっぱいになった。感謝感謝である。

話を試合へ戻そう。先制したのは小禄。1回の裏一死一・二塁から手登根諒介が左中間へ弾き返し二塁走者が生還。頼れる4番のタイムリーに湧く小禄ナイン。その打球にセンターが普段通り回り込むが、雨で濡れた芝生にワンバウンド目で即失速し虚をつかれたセンターは通り抜けてしまう。方や三塁を蹴りホームへ向かう二塁走者も、足を取られバランスを崩しつつ何とか走り抜けるなど、守る側も走る側もやはりいつもとは勝手が違う。その後ニ死一・二塁から6番赤嶺叡汰もセンター前へ運び2点目を加えた。

対する首里も黙ていない。先制された直後の2回。一死二塁から8番小山泰輝がセンター前へタイムリー。その後ニ死三塁としてキャプテン崎間恒之介がしぶとくレフト前へ落とすタイムリーですかさず同点とし、小禄先発の宇根孝介をこの回のみで引きずり下ろした。


小禄vs首里 | 高校野球ドットコム

首里先発西岡侑亮

首里は3回にもニ死三塁とすると、6番仲島幸宏にレフトオーバーのタイムリー二塁打が飛び出し逆転に成功するが、小禄は4回一死一・三塁から1番金城光紀がレフト前同点タイムリー。さらにニ死一・三塁として、3番比嘉亮貴が三遊間を破り再びリードする逆転タイムリーを放った。

首里の先発西岡侑亮は、昨日の中部商戦で10回完投したチームメイトの小山泰輝と同じ松島中学校出身。3年生に上がる直前の中学校春季県大会でベスト4入りを果たしたときのエース西岡にとって、ライバルであり良き友の小山の前日の力投は、この日のマウンドを託された自分自身にとって何よりのカンフル剤となったはずだ。
力強いストレートに鋭い縦のスライダーなど、見ればどれも一級品の素質ではあったが、この試合はそのストレートが時折真ん中近くに集まってしまい、シャープな振りの小禄打線に捕まってしまった。

対する小禄はサイドスローの宇根孝介と、捕手を務める屋比久侑が共に2イニングずつで降板。那覇南地区第二代表決定戦(詳細は11/3付け観戦レポートより)の2試合で18イニングを投げきったエース島袋洋平を温存しての右の二人に、

「ずっと予選から島袋だったのでここらで経験を積ませたい思いで登板させた。」という小禄・野原潤一監督の親心に、こちらも応えられなかった。

だが5回から島袋が登板すると試合は一変して落ち着く。内外角に制球されたボールに、カーブやスライダーも決まり首里打線を沈黙させる。6回はファーストのエラーで一死一・二塁とピンチを背負うが、顔色一つ変えず淡々と投げ浅いセンターフライに三振と後続を断つと、その後も無難に抑える。終わってみれば5イニング19人の打者に対し、3被安打1奪三振1死球の好投で、優勝した1982年以来となる30年振り2度目のベスト4進出へとチームを導いたのだった。

(文=當山雅通

首里   TEAM   小禄
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
三塁 崎間恒之介 1番 中堅 金城光紀
二塁 新垣宏武 2番 二塁 嘉数大輝
捕手 仲宗根雄馬 3番 三塁 比嘉亮貴
投手 西岡侑亮 4番 遊撃 手登根諒介
遊撃 中真 樹 5番 捕手 屋比久侑
中堅 仲島幸宏 6番 一塁 赤嶺叡汰
一塁 宮里宏武 7番 右翼 日高雄大
左翼 小山泰輝 8番 左翼 上間滉太
右翼 井上高彰 9番 投手 宇根孝介

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.13

圧倒的馬力! 鹿児島実の151キロ右腕・井上 剣也の実力を徹底分析!ライバル・神村学園を翻弄する投球術を身に付けられるか?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.06.13

戦国千葉の組み合わせが決定!専大松戸のブロックに八千代松陰、市立柏ブロックに木更津総合、流通経済大柏と激戦ブロックが続出!【2024夏の甲子園】

2024.06.13

駒大苫小牧、北海道栄、苫小牧中央が同ブロック!この3校から南北海道大会に進めるのは1校だけ!【2024夏の甲子園】

2024.06.13

【北海道】北見支部の抽選は14日!遠軽と北見柏陽が軸<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.13

【群馬】14日に抽選会!センバツ王者・健大高崎が軸、ノーシード桐生第一にも注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.11

【北海道】旭川支部の抽選会は12日!旭川実、旭川志峯など強豪の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【福島】いわき光洋、平工が勝利<春季支部選手権大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに