試合レポート

浦和学院vs高知

2012.11.11

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浦和学院vs高知 | 高校野球ドットコム

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小島和哉(浦和学院)

全国で勝てる左腕へ

3年連続明治神宮出場の浦和学院、6年ぶりの3度目出場の高知の対決。関東、四国を代表する実力校の対決は序盤から慌ただしい試合展開に。

1回表浦和学院は、3番山根 佑太(2年)が右中間を破る三塁打で出塁すると、4番高田 涼太(2年)はスライダーをセンターへと運び1点を先制。さらに2回表にもバッテリーミスで1点を追加する。だがその裏、4番和田恋が豪快に振り抜いた打球にレフトが目測を誤り、三塁打に。5番上田 隼也(2年)の内野ゴロの間に1点返すと、さらに3回裏に二死二塁からまた和田恋が外目の変化球をやや腰が泳ぎながらもヘッドが残り、捕えた打球はセンターの頭を超える長打となり、こちらは長打攻勢で1点を返す。

5回表、一死から小島が2ボール1ストライクからのストレートを打ってセンター前へのヒット。続く服部がセーフティバントを決めて内野安打。一死一、二塁とする。1番竹村 春樹(2年)はレフトフライに倒れ二死となるが。2番贄隼斗(2年)がストレートを打ってセンターへ弾き返して勝ち越しに成功。さらに山根がスライダーを捕えてタイムリー。4対2と浦和学院がリードを奪う。

浦和学院の先発は小島 和哉(1年)。
彼は左腕から130キロ前後のストレート、シュート、スライダー、カーブうぃテンポ良く投げ分ける好左腕。突出した武器はないが、無難に抑える左腕だ。彼は自分の色を出すためにインコースを多用する。インコースを厳しく突いて高知打線を打ち取っていく。

左打者には内角へしっかりと突いていたが、右打者には徐々に外角中心の攻めが多くなっていた。外角も厳しく攻めたものではなく、置きに行ったものとなっていた。そうなると高知打線は見逃してくれない。


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和田恋(高知)

特に4番の和田恋が凄かった。
第1打席で三塁打、第2打席で二塁打に続き、6回裏、先頭打者として登場した第3打席では追い込まれてから外角に逃げる変化球をおっつけて右中間を破る二塁打を放った。さらに7回裏の第4打席ではセンター前タイムリーを放ち、4打数4安打。打ったのは内側の厳しいボールで、決して甘いコースではなかった。

狙い球を逃さない鋭さ、スイングスピードの速さ、パンチ力ともに抜けている。やや弧を描くような豪快なスイングで、タイミングの取り方が素晴らしい。

小島は全国レベルの和田と対戦出来たのは大きかっただろう。
その小島は9回裏もマウンドに上がり、なんとか投げ切り完投勝利を挙げた。

試合後のインタビューでは笑みはこぼさず、
「関東代表で情けない投球をしてしまった。インコースに投げられず甘く入った」と反省を口にした。

この試合は8四死球。制球が良い小島としてはかなり多い数字である。全国レベルの打者と対戦して、今後はどんなピッチングを目指すか?という問い対して
「とにかくコントロールです。今日は甘い球が多かったので、次はコントロールを意識した投球をしていきたいと思います」
コントロールを何度も繰り返し、制球の甘さを痛感していたようだった。だが今日の投球を振りかえると大きな波がなく、そしてランナーを出してからも粘り強く持ちこたえるができる好投手だ。トーナメントは一瞬の凄い投球よりも、安定した投球が出来る投手こそ生き残る。この粘り強さが、1年生ながらエースナンバーを勝ち取ったといえる。

今回の経験は彼にとって大きなモノとなったはず。次はこの経験を乗り越えて、ワンランク成長した投球を見せてくれることを期待したい。
そのレベルに到達した時、彼は全国で勝てる左腕になっているはずだ。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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