試合レポート

仙台育英vs酒田南

2012.10.09

仙台育英vs酒田南 | 高校野球ドットコム

仙台育英 菊名裕貴(2番セカンド)

勝負の分岐点となった四球

仙台育英鈴木天斗(2年)と、酒田南相澤良(1年)の両先発による投手戦で、5回を0対0で折り返した。

「相澤投手に、(うまく)打たされていた」と佐々木順一朗監督が話すように、わずか2安打で攻め手がほとんどなかった仙台育英
逆に酒田南は、1回に一死二塁、2回には無死三塁、4回は一死二塁とスコアリングポジションに走者を進めながら1点が取れなかった。

特に2回は、無死から一死三塁と場面が変わった直後に、酒田南の阿彦祐幸監督は、「相手がノーマークだと思った」と打席の7番清水敬太(1年)にスクイズを命じている。仙台育英の佐々木監督も、「ノーマークでした」と認めるほど、野手陣の反応は遅れていた。
ところがマウンド上の鈴木にうまくかわされてスクイズは失敗。走者は三本間で挟まれてタッチアウトになった。前半のヤマはこの場面になる。

ゲームは5回のグランド整備を挟み後半へ。

6回表、先頭の9番鈴木と1番熊谷敬宥(2年)が凡退して二死となった仙台育英。打席に立った2番菊名裕貴(2年)も簡単に2ストライクと追い込まれる。マウンドの酒田南・相澤は変わらずに好調だった。

しかし3球目がボールとなると、ここからコントロールに苦しみ出す。フルカウントとなった6球目も外れ、この試合初めての四球となった相澤。そして四球で出塁を勝ち取った菊名はその瞬間に小さくガッツポーズをした。

ここが“勝負のポイント”となる。

3番長谷川寛(2年)がセンター前ヒットで続き、4番上林誠知(2年)が死球で満塁。そして、5番水間俊樹(2年)がライト前へ弾き返して二者が生還。待望の先取点は仙台育英に入った。

ここから、打線が止まらなくなる。相手守備のミスでこのイニングにもう2点を加えると、7回には上林の本塁打など5安打を集中させて6得点。一気にコールドゲームへと持ち込んだ。


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酒田南 相澤良投手

「6回の2アウト2ストライクからのフォアボール(四球)。あれが全てでした」と肩を落とした阿彦監督。マウンドの相澤も、「勝負にいった球が外れて、慌ててしまった。三者凡退に取れず、力が入ってしまった」と悔しそうに振り返った。

一方の仙台育英サイドにとって大きかったのは、四球を勝ち取った菊名が「よっしゃー」とガッツポーズを見せたこと。

「あそこで勢いづいた」と主将の上林。エースの鈴木も、「ガッツポーズは見えました。フォアボールはヒットと同じですから」と流れが変わったことを感じとっていた。

ゲーム終了後、佐々木監督に挨拶にいった阿彦監督は、感想戦であの四球を再び悔やんでいた。

2死走者なし、2ストライク。絶対的に投手が有利な状況でも、3アウト目を取るまではわからない。そんな勝負の厳しさを、1年生5人がスタメンに並ぶ若いチームは味わったことだろう。

ただコールド寸前の7回に、同じ二死走者なしから4連打で1点をもぎ取った場面。これは逆の意味で、大きな財産となる。

                  仙台育英 TEAM               酒田南
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
熊谷 敬宥 1番 森下 開地
菊名 裕貴 2番 佐藤 哲太
長谷川 寛 3番 阿部 光規(主将)
上林 誠知(主将) 4番 三浦 颯太
水間 俊樹 5番 石塚 大地
小林 遼 6番 阿部 秀平
加藤 尚也 7番 清水 敬太
佐藤 聖也 8番 佐藤 龍法
鈴木 天斗 9番 相澤 良

(文・写真=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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