北部農林vs辺土名
キャプテンとして、2番手の投手としてナインを引っ張った辺土名・平良
9人だけで挑んだ秋。敗れはしたが辺土名ナインの健闘に拍手を送りたい
第62回沖縄県高校野球秋季大会抽選会。映えある選手宣誓のクジを引いたのが辺土名高校キャプテン平良俊。3年生が一人も居なかったため2年生の平良俊がキャプテンを務めた夏は、二人の他部活部員を借りて11人登録で出場。そして今秋はギリギリの9人登録で挑まざるを得なかった辺土名に、まるで宣誓の大役を神様が与えてくれたようにも映った瞬間だった。
ここ最近の部員不足は深刻で、宮古工と伊良部が連合チームとして何とか出場することが出来たが、特に子供たちの過疎化が進む離島や本島北部ではこれから先も大変だろうと推測する。
対する北部農林高校も登録は15人。かつて宜野座高校を率いて春のセンバツでベスト4入りを果たした奥濱正監督は「 辺土名も大変だがウチも2人はインフルエンザなどで出場不可。実質13人だよ 」と苦笑いを浮かべるしかなかった。
チャンスも作ったしファインプレーもあった
辺土名は初回と2回に一死二塁を、3回には先頭打者がヒットを放つなど健闘を見せる。凡飛や盗塁失敗などで得点に結びつけるまでには至らなかったが、走者を進める犠打で失敗を繰り返すチームも多い中、キッチリと進めるなど”自分たちが出来ること”をしっかりと練習し、それを試合で出せているのだなと感じた。
一方3回を終了して僅か1点差のリードであった北部農だが、4回に一死二塁からセンター前へ、ニ死二塁の後はライト前へ、ニ死一・二塁としてレフト前へしぶとく落とすタイムリーと、三方向へ適時打を決め試合を優位にすると、5回には無死一・二塁から5番知念が走者一掃のセンターの頭上を越えるタイムリー三塁打を放つなど計4点をスコアボードに刻み試合を決定付けた。
コールドの雰囲気が流れた7回の裏。だが辺土名は、5番宮城がチーム唯一の長打となる左中間突破の二塁打を打つなど最後まで意地を見せてくれた。
かつて1974年春のセンバツに出場した徳島県徳島池田高校が僅か11人だけで快進撃を続け、さわやかイレブンという愛称を与えられ準優勝を果たし全国から注目を浴びた。
頑張っていれば何かが起こることもある。努力しておりそれを体現することが出来れば、周りが感動してくれる。辺土名ナインも北部農ナインもそれを信じて、高校野球のステージを全うして欲しいと切に願う。
(文=當山雅通)
辺土名 | TEAM | 北部農 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
遊撃 | 平良俊 | 1番 | 投手 | 比嘉水輝 |
一塁 | 知花拓磨 | 2番 | 中堅 | 池原行豊 |
投手 | 比嘉勇介 | 3番 | 左翼 | 座間味真央 |
三塁 | 崎原龍巳 | 4番 | 一塁 | 松川慎之介 |
中堅 | 宮城和磨 | 5番 | 右翼 | 知念孝明 |
捕手 | 米須貴章 | 6番 | 三塁 | 許田祥司 |
左翼 | 比嘉維織 | 7番 | 二塁 | 宮里 龍 |
二塁 | 泉川滝輝 | 8番 | 右翼 | 崎浜秀哉 |
右翼 | 平良尚道 | 9番 | 捕手 | 真栄城侑樹 |