重心移動~下半身編~(9)
『運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、重心移動~下半身編~(8)』
全国高等学校野球選手権大会が8日から始まりました!これから熱い、熱い甲子園での試合が繰り広げられます。好投手、好選手の好プレーはもちろんですが、当たり前のことをしっかりとやっている(全力疾走・笑顔・声だし、などなど)選手にも注目して下さい!
前回は投球動作に繋がるスクワットを紹介させて頂きました。今回は、前回紹介したスクワットを投球動作のどのときに使うのか?を説明させて頂きます。
何度も繰り返しお伝えしますが、投球動作は軸脚を使って前へ進む力と、骨盤を回転させる力を生み出します。だから軸脚の使い方が非常に重要になるのです。
そこで前回説明させて頂いた、軸脚でのスクワットを投球動作に繋げるのですが、投球動作での重視移動で必要なのは、いかに軸脚の股関節を曲げて重心移動できるかです。
この股関節を曲げられれば、その後の前に進む力、骨盤を回転させる力が大きくなるのです。写真(1)を見て頂きたいのですが、重心移動の際にほとんど軸脚の股関節を曲げられていません。だから重心が後方にあるため正しい重心移動できませんし、股関節を曲げられていない分、その後軸脚で蹴る力も小さくなります。
写真(2)を見て下さい。これはしっかりと軸脚の股関節を曲げて重心移動できている投手です。だから写真(1)の投手より体が前傾しているのが分かるでしょうか?これだけしっかり軸脚の股関節が曲げられていると、重心移動も前に進む力も骨盤を回転させる力もしっかりと正しい力として上半身に伝えることができるのです。
左:写真(1) 右:写真(2)
写真(2)のような投球フォームの方が球速も上がるというデータを先日ある大学院の先生から教えて頂きました。私が今までたくさんの選手を見て経験してきたことと、ちゃんとバイオメカニクスを研究されている先生との意見が一致することで、自信を持ってこの投球動作が重要であるということを皆さんにお伝えすることができます。
ここで間違って頂きたくないのは、写真を見ただけで、ただ体を前傾することが大事ではない、ということです。写真を見比べて頂きたいのは体の傾きだけではなくて、ベルトの傾きを見て頂きたいのです。写真(1)より写真(2)の方が、ベルトの傾きが前に傾いているのが分かると思います。
だから一見体が前傾しているような投球フォームでも、実は背骨で体を曲げているだけで、しっかりと軸脚の股関節を曲げて体を前傾していない投手はたくさんいます。しっかりと軸脚の股関節を曲げて体を前傾させることが重要になるということをご理解下さい!
【久保田正一、今月のつぶやき】
甲子園が開幕する前に、各地区予選大会の決勝戦で投手のフォームをチェックしているのですが、非常に素晴らしい投手が多いなと感じています。今大気から今秋ドラフト候補に名乗り出る投手が現れるのではないでしょうか!
そんな地区大会で悲しい情報が入ってきました。『タイムをとった!』といくら選手が言っても、審判が『タイム!』と言わなければそれはタイムではないのです。その後の判定にいくら何を言ってもそれは『自己評価』でしかないのです。しかし組織の一員として活動しているのであれば必ず『他者評価』されるのです。
高校野球であれば審判はもちろん、監督、コーチ、部長、卒業生、先輩、同級生、後輩、マネージャー、保護者、学校の先生、地域の方々、他にもたくさんの方々の『他者評価』で今の自分はあるんです。
『人生は他者評価である』。これを是非高校野球をしている皆さんにはお伝えしたいと思います。
※これについては来月の『本気の心技体』で甲子園総括と共にお伝えしたいと思います。
さて、私は息子2人と18日19日で甲子園に観戦に行きます!甲子園でプレーする投手のフォームをTwitterで呟いていますので是非フォローをお願いいたします!『baseballstation』です!
今年もどんなドラマが待ち構えているのでしょうか?楽しみです!頑張れ!高校球児!
(文・写真:久保田 正一)