履正社vs大阪学院大高
夏はやっぱり3年生!
大阪大会1回戦屈指の好カードと言われた一戦。実は昨夏から公式戦で対戦するのは3度目になる。
お互いの手の内を知り尽くしていると、反対にやりにくいかも知れない。
「(大阪学院大高の)エースの田中(俊也=3年)君は好投手。去年の夏に対戦した時は苦労したので、どれだけ攻められるかと思いましたが、(長打を放った)植田を中心に思ったより対応出来ていたと思います」とゲームを振り返った履正社の岡田龍生監督。だが、大阪学院大高に先制のきっかけを作ってしまったのは植田幹就(3年)だった。
1回、先頭打者の森将太郎(3年)が放ったライトへの飛球を取り損ね、二塁に走者を進めてしまう。その後、四球で出塁した天野輝史の二盗が悪送球を誘い、三塁にいた森が生還。履正社にとっては嫌なかたちで得点を与えてしまった。
直後の2回表の攻撃。先頭の4番・小保根誠(3年)がヒットで出塁し、チャンスで植田に打席が回ってきた。ここで奮起しないはずがなかった。思い切り振り抜いた打球をセンターオーバーの三塁打となりすぐに同点となった。
さらに次打者の原田涼平(3年)がレフトへ犠牲フライを放ち、あっという間に逆転。「あそこですぐに跳ね返せたのが大きかった」と指揮官は安堵の表情を見せた。
この攻撃を含め、先発した鈴木佳佑(3年)が6回途中まで1安打無失点と好投するなど、投打にわたって存在感を見せたのはすべて3年生。昨秋、新チームがスタートして以降、好守の要所を2年生が担っていた時期もあった。旧チームからの経験者が少なく、なかなか頭角を現す選手が出なかった事実もあったが「夏はやっぱり3年生に引っ張ってもらわないとチームは勝てない」と、指揮官は断言する。
旧チームから経験者の主将の小保根は、この日は4打数2安打と主砲らしい活躍を見せた。「やっぱり自分たちが引っ張らないといけないし、最後の夏は笑って終わりたい。何より、自分たちには(打倒・大阪桐蔭という)目標があるので、結果を出し続けないといけない」と闘志を燃やせば「(2年前の夏の甲子園出場時は)山田さん(哲人=現・東京ヤクルト)ら3人しか3年生がいなかったのに、それぞれがしっかり役割を担ってチームを引っ張っていた。自分たちもそんな風になっていきたい」と1番を放つ熊本颯(3年)も口にした。
初戦の鬼門を突破したとはいえ、まだまだ大阪の頂への道のりは長い。それでも、強敵を討つための体勢は、徐々に整いつつある。
(文=沢井史)