Interview

埼玉西武ライオンズ 片岡 易之 選手

2012.07.16

第104回 埼玉西武ライオンズ 片岡 易之 選手2012年07月23日

 4年連続で『盗塁王』に輝くなど、走力を武器に活躍を続ける片岡易之選手。昨秋から今年4月まで、故障により一時戦線離脱するも、5月より復帰。足だけでなく、打撃も魅せ、チームに大きく貢献している。今回は、そんな片岡選手の盗塁術や道具へのこだわり、また野球を楽しむことの大切さなどをお伺いしました!

片岡選手が考える盗塁の重要性

――最近の高校野球でも、走塁を重視するチームが増えてきています。改めて、片岡選手が考える『走力』の重要性を教えてください。

片岡易之選手(以下「片岡」) 野球は結構メンタルの部分が強いと思うので、足の速い選手がいると、バッテリーも野手も全員が警戒しますよね。守っている側としては、まず、ランナーを出したくないし、出るとポジショニングや配球も変わってくる。そういった部分で、攻撃する側にとって、『足』という武器はとても重要だと思います。
 僕自身は、入団してから走力を高めることに、こだわるようになりましたが、何かひとつみんなと違うものを持っていないといけないと思い、走ることに目を向けて取り組み始めました。

――試合中、走ることに勇気が持てない。そんな高校生の選手もいると思うのですが、そういった選手たちにアドバイスはありますか?

「片岡」 もちろん、塁に出て走らないというのも作戦のうちなのですが、相手にとっては走られるのが一番嫌なので、牽制でアウトになっても、盗塁でアウトになっても、要は一緒なのです。まず、スタートを切る勇気を持って、走ってみることが大事ですね。『アウトになってもいいや』という気持ちで走ることが、最初は大切なんじゃないかなと思いますね。

――日頃の練習や、練習試合でやるといいよというオススメの取り組みはありますか?

「片岡」 まずは、マイナス要素をなくすこと。また、少しでも考えてしまうと体が止まってしまうので、なるべく考えないというか、スタートを切る準備だけをしといて、あとは、どうにでもなれという感じでスタートを切ったほうが良いですね。

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[page_break:盗塁時のスタートのポイント]

盗塁時のスタートのポイント

”常にお腹に力を入れることを意識する”

――盗塁のスタートを切る状況判断は、片岡選手は普段どのように磨いているのでしょうか?

「片岡」 盗塁に関してはスタートが命ですからね。
 僕は内野手ですけど、内野手はどこに打球が飛んでくるか分からない。その反応する準備と、盗塁は同じだと思うんです。反応出来なかったらスタートは切れない。盗塁の時も、あまり考えてしまうとスタートが切れないと思うので、どっちでも反応できるような『重心』を自分で見つけてやると良いと思います。
 僕の場合、重心は、お腹に意識をおいています。塁に出ると『グッ』って力を入れる時間がもったいないので、常にお腹に力を入れて、どちらでも行けるようにします。これは言葉で伝えるのは難しいのですが、ただお腹に力を入れるのではなくて、腹筋の奥のほう。そこを意識していますね。

――そういった姿勢を常に出来るように、普段から意識していることとはどんなことでしょうか?

「片岡」 そうですね、例えばジョギングにしても、姿勢が大切です。走る時も、歩く時も、同じようにお腹の奥のほうを意識して力を入れていますね。
 実は僕は、走塁を磨こうと思った時に、まず歩き方や走り方から変えました。普通にジョギングしていた時は、体が横ブレだったんです。その分、ロスも大きかった。でも、お腹を意識すると、腕も速く振れるし、体のブレも少ない。だから、そういうところから始めると良いのではないかなと思います。

投手との駆け引き

――片岡選手がピッチャーから牽制をされた時でも、走れると思う瞬間の感覚ってどんな時なのでしょうか?

「片岡」 牽制がくるのを見ていて、厳しいなと思ったらキャッチャーを見たり、リードの位置を変えたり。
 ただ走ることが全てではなくて、『いつ走ってくるんだろう』と相手に思わせることが勝ちなので。いかに、そう見せるかですね。
 例えば、内野の線上より前に行けば、ピッチャーはランナーが近くに見えるし、後ろにいたら遠くにみえる。僕より足の速い選手はいっぱいいますから、僕は足が速くない分、そういうちょっとしたことも考えながら、プレーしていますね。

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[page_break:より速さを求めたスパイクの選び方]

より速さを求めたスパイクの選び方

”愛用のスパイクを語る片岡選手”

――片岡選手が普段、スパイクの選び方で重要視することとは、どんなところですか?

「片岡」 まず一番には軽さですよね。重いと足が前に出ないし、疲れる。野球は、長時間のスポーツですから、重要です。そしてフィット感。足にフィットしていて、ブレの少ないものを選ばないと怪我にもつながる。また、足に合っていないと、どんなに軽量化されたスパイクでも重く感じたりする。そのため、この2点は欠かせません。今のスパイクは、兼ね備えていると思いますね。

――今、使われているスパイクは、どのくらい愛用されているのですか?

「片岡」 もう2年半くらいですかね。現在はadidasのスパイクを使っているのですが、これは軽いですね。以前は、別のスパイクで、軽さを求めてアッパーにはメッシュ素材、アウトソールには革底を使用していたので、悪天候だと、水を含みだんだん重くなってきました。それに比べてこれはどのような天候でも軽さを保てますね。

――最初、履いた時の地面を蹴る感覚なども、これまでと違いましたか?

「片岡」 そうですね。このスパイクの場合は、前(前足部)の部分が足の構造にも近い形で曲がるので、足に負担をかけずに、蹴っているという感じがあります。
また、グリップ力もありますね。

――スパイクも一つの武器として、こだわって選ばれているのですね。いまでは、片岡選手=走るというイメージは、高校球児たちにとっても根強くついていますね。

「片岡」 そうですね。でも、まだまだ!これからも足をウリにしてやっていきたいですね。若い選手もいっぱい出てきたので、負けないように。

――もちろん、盗塁王も狙っていきますか?

「片岡」 そうですね。盗塁王は一度取ったものですから。他の人には取らせたくないという気持ちもありますし、やっぱり一番になりたいので。
例え足にスランプあっても、それが続かないようにしっかりケアをして、また盗塁王を獲れるように、負けない気持ちで常にプレーし続けたいですね。

――では最後に、今シーズンはどんな思いを持って、プレーしていきたいと思われていますでしょうか?

「片岡」 負けている時でも元気よく。そういう雰囲気が作れると、チームのみんなのためにもなるので。やっぱりプロ野球というのは、見られる職業ですから、魅せてやろうと。結果はあとからついてくる。それくらいの気持ちで、今シーズンは楽しくプレーしていきます!

――高校球児の皆さんにも、そんな思いを持ってプレーしてもらいたいですね。

「片岡」 そうですね、3年間というのは短いですから。せっかくの青春時代なので、後悔しない選択をしながら、良い思い出が作れるように、楽しくやってほしいですね。

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