丸亀vs英明
丸亀先発・山口立城(3年)
丸亀、夏3連覇狙う英明への苦手意識払拭する快勝!
昨夏香川県大会決勝戦以来となる両者の対戦。夏は英明エース左腕・松本竜也(現:巨人)の投打に渡る活躍もあり8対0と英明の快勝に終わったが、今回の勝敗、スコアは8ヶ月前とは正反対であった。
リベンジ達成の発信地は山口立城、三好一生の新3年生バッテリーである。昨夏、丸亀を決勝戦まで押し上げた田所知弥、松本直樹のバッテリーに続く形で香川大付属坂出中野球部から丸亀高校へと進んだ2人は、「自分の腕を出しやすい位置を考えて自分で下げた」(山口)スリークフォーターから、最速136キロの伸びのあるストレートを内外角へ。
変化球もスライダー、そして「決め球として使った」(三好)縦スライダーの軌道に近いフォークを、相手打者の呼吸を外す絶妙のタイミングで配球。
これに相手打者は「修正のしようがなく」(英明・香川智彦監督)三振の山を築き、終わってみればその数はなんと17個に達した。
こうなれば天の配剤も丸亀を後押しする。初回、2死1・2塁から先輩たちの悔し涙をベンチから見つめ「もちろんリベンジする意識はあった」5番・近藤勇貴(中堅手・3年)が、セカンドへ高いフライを放つと、ボールは強風に煽られセカンド前にポトリ。さらに慌てたセカンドの悪送球と、6番・穴吹優弥の適時打も重なりこの回3点を奪った丸亀は、2回表にも1死1・3塁から7番・横田圭祐の初球スクイズが見事成功。「あればよかった」と山本雄一郎監督も褒め称えた奇襲戦法で冷静さを失ったエース・宮井祐一(3年)はサイドハンドから139キロを叩き出した昨夏の片鱗すら見せぬまま、「ひきつけてボールの内側を叩くことを指示した」(山本監督)丸亀の猛打にさらされていく。
6回表丸亀5番・近藤勇貴(中堅手・3年)が左越2ランを放ちホームへ還る
そして締めは再び近藤。
6回表・これが4安打目となった2番・若狭宙斗(右翼手・3年)適時打に続き、「高めの甘いストレートをフルスイングした」ボールは、追い風に乗ってスタンドへ。
2ランホームランで7対0。この試合、英明ができたことはコールド負けを免れる1点を取ったことくらいしかなかった。
「コメントのしようがない。全く力不足。チーム作りが遅れているので、夏に向けて鍛え直します」(英明・香川監督)。
「昨秋も練習試合ではやられているし、今日はウチが先に3点取ったことで相手の調子が出なかっただけ。逆に英明にウチの戦力を見られたようなゲームでしたね」(丸亀・山本監督)。
試合後、両指揮官のコメントには勝敗の違いこそあれ、想定外の結果に接したことによるある種の戸惑いが感じされた。
が、この試合で昨夏、秋と英明に苦手意識を抱いていた丸亀が、一気にそのイメージを逆転させたことは紛れもない事実。それはすなわち、英明の夏3連覇に黄色信号が点滅したと同時に、夏の香川県大会が混戦状態に突入したことをも意味している。
(文=寺下友徳)