Column

筋肉をつけて体重を増やそう

2012.01.30

食事を工夫する

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

基礎体力づくりに励む中で、この冬で体重を増やしたい!とがんばっている選手も多いのではないでしょうか。体重を増やすためには食事はもちろんですが、トレーニングや日常生活においても工夫が必要となってきます。

ただし急激に体重を増やすとケガの原因になってしまうことも。今回はムリをせずに体重を増やすためのポイントなどについてお話をしたいと思います。

見た目にもヒョロっと細長く「食べても食べても体重が増えなくて困っています」という選手の場合、何とか体重を増やそうと食事量を増やす努力をしているようなのですが、ケーキなどの甘い物やポテトチップスなどのスナック菓子なども気にせず食べているような場合があります。間食は上手に利用したいものですが、このような食生活で空腹を満たしていると、結果的に体脂肪が増えることにつながります。アスリートとしては、脂肪ではなく筋肉量を増やすことで体重を増やすように心がけたいものです。カロリーの基本的な考え方として、

「摂取カロリー > 消費カロリー」

であれば基本的に体重が増えるはずなのですが、運動量の多いスポーツ選手の場合、消費カロリーが多すぎて、摂取カロリーが間に合っていないということがよくあります。本人は「よく食べている」つもりでも、日々の練習に見合っただけのものを食べ切れていないことがあるのです。普段の食事を野球ノートなどに書き出し、体重とともに記録をとるとどこを改善すればいいのかといったことが見えてくるようになります。

その上で摂取カロリー不足の選手は

●食事の回数を増やす(朝・昼・練習前・練習後・夜など)

●毎食時に乳製品を一品取る(たんぱく質源の確保)

●練習前におにぎり、パンなどの炭水化物をとる(エネルギー源と摂取カロリーの確保)。

●練習後は、なるべく早く夕食をとる工夫をする

●朝食をボリュームアップさせてとる(たんぱく質源を必ず!)

といったことをアドバイスし、一つずつ取り組むようにしてもらっています。


運動やトレーニングなどによって筋肉量を増やす

そしてもう一つ体重を増やすために大切なことは「運動やトレーニングなどによって筋肉量を増やす」ということです。筋肉の比重(体積あたりの重さ)は1.0~1.1程度、脂肪は0.9程度といわれ、同じ大きさであれば、筋肉は脂肪に比べて重いことがわかっています。

運動やトレーニングを続けることで筋肉が鍛えられて太くなり、その体積が大きくなれば、体は引き締まってガッチリし体重も重くなることが考えられます。

そして何より筋肉量を増やすことのメリットとしては力を発揮する能力が高くなり、競技力の向上に結びつきやすいことがあげられます。筋肉は自ら力を発揮する原動力として働きますが、脂肪は自らが力を発揮することはなく、単なる「おもり」を背負ってしまっているのです。脂肪がたくさんついて体重が増加しても、おもりが増えただけでパワーアップしなければ、プレーの敏捷性が鈍くなったり、瞬発力が発揮できなかったりといったマイナス要素が目立つ結果となってしまうでしょう。

体重増加の目安としては1ヶ月に1~2kg程度を目標にゆっくりと体重を増やしていくようにします。急激に体重を増やしてしまうと身体を支える筋力が体重を支持できなくなり、腰、膝、足首などに負担をかけ、思わぬ傷害の原因となってしまうことがあるからです。 「身体が重くなった」と感じるぐらい増やすのは賢明ではありません。少しずつ増やしながら、その体重に見合った筋力をつけることを心がけましょう。

パワーアップのため、野球がうまくなるためには「筋肉をつけることで体重を増やす」ということを意識して、食事や日常生活を見直してみてくださいね。

【体重を増やすためのポイント】
●「摂取カロリー > 消費カロリー」になるような食生活を心がける
●体脂肪を増やすような間食はやめて、筋肉をつけるための食事を
●筋肉のほうが脂肪に比べて比重が重い
●筋肉はパワーアップにつながるが、脂肪は力を発揮しない「おもり」である
●体重増加の目安は1ヶ月に1~2kg程度を目標にゆっくりと

(文=西村 典子

次回、第38回公開は02月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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