Column

プロの凄さ~カギは体幹の柔軟性~

2012.01.19

廣戸聡一の4スタンス理論 第5回 「軸と4スタンス理論」

第7回 プロの凄さ~カギは体幹の柔軟性~2012年01月19日

中村剛也、内川聖一両選手が打てる理由

【廣戸道場 廣戸聡一先生】

 4スタンス理論に関するお話は理解していただけたでしょうか。各タイプの体の使い方など、もっと詳しい解説もありますが、今回はこの部分に関しては省略したいと思います。正しい動きというのはひとつではなく、複数あるんだということさえ理解してもらえれば幸いです。

 今回は皆さんにもっとイメージしてもらいたいということで、一流の選手たちを取り上げながら、いろいろなお話をさせてもらいたいと思います。プロのなかでも今シーズン結果を残したあの選手、なんであの人はあんなにうまく打てるのか、コントロールよく投げられるのか…。そのあたりを私なりに解説してみたいと思います。

 2011年はご存知のように、投高打低のシーズンでした。巷では統一球の影響が大きかったと言われますが、そんななかでも打ちまくっていた選手もいます。代表的なのがソフトバンクの内川選手、そして西武のおかわり君こと、中村選手ではないでしょうか。2位に2分近い差をつけて首位打者を獲得した内川選手、20本以上の差をつけて本塁打王になった中村選手。彼らの大活躍の裏には多くの要因があるとは思いますが、私はその「体幹の使い方」に注目しました。


【胸郭の柔軟性について説明する廣戸先生】

 バッティングを語るとき、よく「下半身」の重要性を聞くと思います。事実として、とても大切なところであることには違いないのですが、同時に上半身の方が軽視されていることも確かではないでしょうか。股関節の柔らかさは追求するのに、上半身の柔軟性というと肩甲骨くらいで、あとは無頓着。それではいくら下半身を鍛え上げても意味がないと思うのです。

 いいバッターというのは非常に柔らかい上半身の使い方をします。ろっ骨のあたりがよく動き、決して力感があるわけではないのに、鋭い打球を飛ばす。先に挙げた2人なんてまさにそうでしょう。

「軽く振っているように見えるのに、なんであんなに飛ぶんだ?」

 皆さん、そう思うはずです。この秘密こそ上半身、特にろっ骨周辺を指す『胸郭』の柔らかさにあるのです。投げる方では菊池雄星投手を挙げてみましょう。彼は体調の不良と投球フォームなどを試行錯誤しつつとても悩んでいました。もともと素晴らしい柔軟性を持った選手で、上半身の使い方にも目を見張るものがありました。ところが、本来の動きとは違ったものを習得しようとした結果、うまくいかなくなったようなのです。そこで、高い柔軟性を使った上半身の動きを学んでもらいました。すると体調も良くなり、自然とフォームも高校時代に戻ったような躍動感あふれる形になりました。

 速いボールを投げるのも、遠くへボールを飛ばすのも基本的には同じことです。どちらも胸郭の柔らかい使い方ができないと、正確で力強い動きはできません。そこで次回は、理想的な体の使い方をするためのコツをお伝えしたいと思います。

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■次回の廣戸聡一の4スタンス理論の公開は2012年01月26日予定です。お楽しみに!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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