Column

「間違ったパワー主義」への提言

2011.12.08

廣戸聡一の4スタンス理論 第2回 「「間違ったパワー主義」への提言」

第2回 「間違ったパワー主義」への提言2011年12月08日

【廣戸道場 廣戸聡一先生】

 走ることによって軸を形成し、その入れ替えがスムーズにできるようになれば、人間は大きな「パワー」を生みます。これまた後ほど解説をしますが、軸ができるようになると関節の可動域が広がり、自分の持っている力が発揮されやすくなります。

 要するに、走れば身体が柔らかくなり、かつパワーが“生かされる”ようになるということ。時代錯誤も甚だしいと言われるかもしれませんが、走り込みが大切な理由も分かってもらえるのではないでしょうか。

 また、私が感じている高校球界の流れとして、必要以上にパワーを“つけよう”としすぎている点があります。

とにかく筋トレで身体を大きくして、それを野球の動きへつなげようとする。それはしばしば、個々の身体の条件や特性を無視して行われています。もちろん「筋トレ」や「大きな身体」というのはとても大切なことだと思います。きちんとした形でトレーニングを行えば良い効果が望めるでしょう。しかし実際は、野球の動きに生かすどころか、むしろ逆行しているのが現状なのです。


【バッティング練習(野球部訪問より)】

 重いバットを使って練習をする。よく見かける光景でしょう。やっている選手にこの目的を聞くと、大概は「パワーをつけるためです」と答えます。確かに腕力はつくかもしれません。でも逆に重いバットに振らされていて、最後までバットを振り切れていないケースが多い。

 すると身体を使ってバットをコントロールすることができなくなっていきます。ただ腕だけでバットを操作し、重いものを扱うことだけが目的となってしまっているのです。そこからいざ普段のバットに持ち替えたときに、腕力ばかりに頼った、ぎこちない打ち方になってしまう。それは当然の結果だといえるでしょう。

 筋トレでも、バーベルを持ち上げるのが上手になっても仕方ありません。もともとは滑らかでいい動きをしていた選手が、ある時期を境に元よりパフォーマンスが落ちたりケガをしたりすることが見られます。今までやっていた動きとは違う、間違った動きを繰り返すと誰でもおかしくなるはず。こうしたことが「間違ったパワー主義」による弊害だともいえるのです。

 そこでまず大切なのは、きちんとした動きを習得することです。それには体幹を中心とした身体の柔軟性と、各々に合った軸の形成が不可欠です。全力プレー、走り込みのなかからその選手に合ったフォームを探し、その動きを身につけていく。この連載では、これらの手段や方法について、詳しく紹介していきます。まずは軸作りを中心とした万人に共通する身体の使い方、そして4スタンス理論の考え方まで、一緒に学んでいきましょう。

■ グランドスラム特設応援サイト

■ 次回の廣戸聡一の4スタンス理論の公開は2011年12月15日予定です。お楽しみに!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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