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夢、引き継いで (聖望学園)

2011.07.28

夢、引き継いで  (聖望学園) | 高校野球ドットコム

第6回 夢、引き継いで2011年07月28日

夢、引き継いで  (聖望学園) | 高校野球ドットコム

 2011年、第93回全国高等学校野球選手権・埼玉大会5回戦(7月22日・[stadium]大宮市営球場[/stadium])。
聖望学園春日部共栄のライバル校同士の対戦は4対2で春日部共栄に軍配が上がった。それは、両校の力がそのまま表れた試合となった。
「時間が足りなかった」と試合後に話した聖望学園・岡本監督。

 1年生から将来のエース候補として期待された瀧瀬。188センチの大柄な体格から投げ込む角度ある速球を武器にする。聖望出身のプロ第1号の門倉(中日-巨人-韓国SKワインバーズ)の高校生時代より「才能は上」と指導陣も期待したが、調子をあげるまでの時間が足りなかった。

 今大会も5試合を投げ、1試合平均2失点と試合毎に調子を上げてきていた瀧瀬。春日部共栄戦も初回に1点を失ったが、2回以降は7回まで、三塁へ走者を進めるが粘り強いピッチングで無失点に抑えた。

 しかし、8回。先頭打者がノーアウトからヒットで一塁。迎えるは「最強打者」と春日部共栄の本多監督が話す小泉。この試合も2安打と好調だった。両監督の采配が注目される場面。

「送りバントは無い」(聖望・岡本監督)
「ここは強攻で」(春日部共栄・本多監督)

と互いの読みは一致。カウント1-2からの4球目を捕えた小泉の打球は、一・二塁間をゴロで抜けライト前へ。無死一、三塁とチャンスを拡げた。瀧瀬も力投し、4番打者を低目の変化球で空振り三振に仕留めて一死とするも、続く5番の2年生・板倉にボール2つから3球目をセンターに弾かれて、逆転のタイムリーヒットに。


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 「ボールが先行したのでストライクが欲しかった」という瀧瀬。一方、「真中に入ったストレートを強振せずにセンターへ運んだ」という板倉の技術がここ一番の勝負どころで発揮された。続くチャンスで春日部共栄の8番・佐々木が初球を狙って3点目の適時打を放つ。ここまで粘りの投球で凌いだ瀧瀬も、春日部共栄の強力打線の前に力尽きた。

 聖望打線も、2回から立ち直った春日部共栄・竹崎の前に、三者凡退で抑えられた。ここは竹崎の好投が光った。

「立ち上がりの力みからストレートで強気に押し、失点をした投球から、2回以降はスライダー中心に変化球を混ぜ合わせる投球に切り替えました」(竹崎)。

この竹崎のピッチングに、聖望打線は初回の“ストレート”を意識する余り変化球に的を絞れず、最後まで凡退を繰り返した。四球やエラーで出塁した少ないチャンスも、果敢にヒットエンドランや盗塁など足を絡め仕掛けたが、いずれも春日部共栄バッテリーの好守に阻まれた。

 それでも試合後の聖望学園・岡本監督はチーム力以上の好ゲームと納得の表情。「選手たちは良く戦った。試合に負けたのは監督の責任です」と語った。3年生はこの試合を最後に高校野球から引退する。2年4ヶ月の高校野球人生。グランドで、ベンチで、応援席で一体となって戦った選手たち。共に泥まみれの汗を流し、時には喜びの涙、悔しみに号泣した時間。そんな素晴らしい仲間と過ごした経験は一生の財産になるだろう。

 しかし、聖望学園の戦いは休む間も無く、8月の新人戦に向けすでに始まっている。1・2年生たちが、先輩の夢を引き継ぎ、来年こそは甲子園を目指したい。聖望学園の熱い夏は終わることなく、この先もずっと続いていく。

(文=滝島 利夫

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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