試合レポート

岐山vs多治見

2011.04.18

岐山vs多治見 | 高校野球ドットコム

野々村高志(岐山)

岐山、躍進のベスト8 注目のエース野々村が完封

春の高校野球岐阜県大会は16日、県内3球場で2回戦8試合が行われ、[stadium]土岐市総合公園野球場[/stadium]では岐山が3対0で多治見を降し、ベスト8に名乗りを上げた。

岐山はエース野々村高志のピッチングが光った。ストレートはこの日141キロをマークし、相手打線を0点に抑えた。それでも長谷川哲也監督は「地区大会から野々村は全然良くなくて、今日もいつ点を入れられるか分からない展開だった。彼自身もベンチで首をかしげてばかり。さすがに本人には『抑えてるからエェやんけ』とは言いましたけど…」と、気が抜けなかった様子。野々村もボールへの指のかかりが納得いかないようで、「しっかり中指にかかったストレートを投げられるようにしたい」と完璧主義者らしいこだわりを見せた。

それでも、180センチを超える上背から140キロ台のボールを投げる野々村は、県内の高校野球関係者なら誰もが知る、屈指の好投手だ。

テークバックで右腕を下げたまま我慢することで、きっちり踏み込んでから腕を前に持ってくることができる。バネを生かした上手投げで、力まなくてもボールにノビとスピードが出る。ここぞという場面ではさらに力が増し、ピンチを迎えても三振で切り抜けられるのが素晴らしい。

野々村は中学時代、投手兼一塁手で華々しい実績はなかったが、高校に入学してから大きく成長した。真面目な性格で、なおかつ岐山は進学校ということもあり、県高野連の関係者も「野々村君にはぜひとも大きく育ってほしい」と期待を寄せる。東海地区ナンバーワン打者の村山賢輔愛工大名電)とは小学校時代に一緒にプレーした間柄で、村山が寮から帰郷した際には必ず一緒に遊ぶという。「アイツは次元が違いますから…」と前置きしながらも、「東海大会で戦えたらいいな」と互いに鼓舞しあっているそうだ。


岐山vs多治見 | 高校野球ドットコム

川口尚杜(岐山)

また、岐山の野球部自体も、これまで目立った実績はなかった。夏はベスト8が過去最高成績だが、星取りだけを見れば、近年は1つ勝ち上がれるかどうかの状態。春・秋の最高成績も詳しく調べなければ出てこないほどだ(上位に残ることが少ないため)。部としては大躍進のベスト8に、長谷川監督は「明日はコールド負けかもしれんよ。ただ、5回コールドではなく、せめて7回まではゲームを続けられるようにします。(エース野々村の連投を避けるため)明日の試合会場の[stadium]関市民球場[/stadium]に(試合が中止になるほどの)水を撒いておいて」と冗談も飛び出したが、部員には以前から「東海大会を狙うぞ」と話していたよう。強肩捕手の平光進太郎やこの日タイムリーを放った4番・川口尚杜、主将の松野幸元らを中心に、結束してさらに上を目指す。

一方敗れた多治見は、エース松田翔真がスライダーを武器に粘投を見せた。捕手の岡田昌大も6回裏のピンチで、相手の仕掛けを完全に読み切ってボールをウエストし盗塁を刺すなど、昨夏に県ベスト4まで残った経験を生かした。昨夏はエース・長屋遼輝の活躍が大きかったが、大黒柱が抜けたチームでも今春東濃地区予選を1位で通過するなど、地力は十分にある。

それだけにこの試合では、チャンスで三振に倒れるなど、0点に抑え込まれた打線が悔やまれるところだ。

(文=尾関 雄一朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.16

【東北】17日に準決勝!近年強さが目立つ青森勢か、盛岡大附の復活Vなるか<地区大会>

2024.06.16

青学大が中田、藤原のタイムリーで逆転に成功!1点をリードして後半戦へ!【全日本大学選手権決勝】

2024.06.16

【大阪】17日に抽選会!打倒・大阪桐蔭なるか、大阪学院大高や興國などはもちろん、ノーシードの履正社の対戦相手も注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.16

大阪工業大の新入生に八戸学院光星の二塁手、敦賀気比、東海大星翔の正捕手など甲子園組や近畿の逸材が入部!

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得