試合レポート

沖縄尚学vs小禄

2011.03.28

沖縄尚学vs小禄 | 高校野球ドットコム

試合シーン

まさかの結末

春季大会の日程も順調に消化し、2回戦が始まっております。好カード揃いの2回戦の中でも屈指の好カードがこの小禄沖縄尚学のカードです。沖縄尚学は秋季大会で準優勝し、今大会でも優勝候補の一つに挙げられています。小禄は秋季大会こそ初戦で敗退しましたが、昨年の春季大会では準優勝し夏のシードを決めるチャレンジマッチであの興南を破り第一シードを獲得した強豪です。

両校の初戦は対照的で、沖縄尚学八重山農林を5回コールドで下すなど磐石な勝ち上がり。一方の小禄石川を相手に延長まで進む熱戦を展開し何とか振り切ったという試合でした。勢いに乗っている沖縄尚学相手だけになるべく先制し、試合を優位に進めたいと思っていたのではないでしょうか。

小禄の先攻で始まったこの試合、沖尚の先発はエースの與座健人。キレのある直球と変化球を駆使し打者を打ち取る総合力が光る右腕です。

しかし、その立ち上がりを狙われます。1番・栄基貴が試合開始直後の初球を狙いライト戦を破る二塁打で出塁し小禄はあっという間に先制のチャンスを得ます。送りバントや内野ゴロで二死三塁とすると、立ち上がりの制球に苦しむ與座からしっかりとボールを見極め、3つの四死球を選び押し出しで先制します。しかし與座も何とか踏ん張りこれ以上の追加点を許しません。

思わぬ形で先制点を挙げた小禄の先発は冨名腰晃平、180cmという長身の左腕で勢いよく腕を振りキレのある直球とチェンジアップが武器の投手です。

早く同点に追いつきたい沖尚打線ですが1、2番をあっさりと打ち取られ、このままこの回は終わるかに思われました。しかし3番・當銘翔が守備のミスで出塁すると、4番・平安山良恭がエンドランを決め2死ながら1、3塁と同点のチャンスを作ります。更に平安山が盗塁を決め一打逆転の場面となり、打席に立つは5番・照屋永遠。カウント2-2と追い込まれながらも外低めの直球を捉えると打球はライトの頭を大きく越える三塁打で一気に逆転に成功します。そして続く6番・上間祐輔もライト前への技ありのタイムリーを放ち3点目を挙げ、沖尚は点差を広げます。


沖縄尚学vs小禄 | 高校野球ドットコム

試合シーン

味方に即座に逆転してもらった與座は、ボールが浮き制球に苦しみますが、走者を置いても要所を締める投球で点を与えず徐々にリズムに乗っていきます。

沖尚打線もこのリズムに乗り、3回に1死2、3塁のチャンスをつくり、この回途中からマウンドに登った山里悠也から先ほどタイムリーを打った上間がここでもセンターへ綺麗に弾くタイムリーを放ち2点を追加します。
勢いに乗っている沖尚打線を意識したのか山里は厳しく打者を攻めていきますが、微妙に外れてしまい逆にカウントに苦しみ四死球を与えてしまう投球でした。

5回には2連続四球で出した走者を與座の犠牲フライなどで2点を追加され、7回には1死二塁の場面から4連続四死球を与えてしまい7点差がつきコールドとなり沖尚が勝利を収めました。

押し出しで始まった試合ですが、同じように押し出しで終わるというまさかの結末となってしまいました。
2回戦屈指の好カードといわれたこの試合ですが、このような結末を予想していた人は誰もいなかったのではないでしょうか。

狙い通りに先制に成功した小禄だったものの、初回のエラーをきっかけに崩れてしまいました。また、投手陣も四死球が多く、守備面でリズムを作っていくことが出来ませんでした。そういったところがこれからの課題になるのではないでしょうか。

ただ、沖尚もそのミスをきっちりついて自らに流れを持ってきたと思います。初戦は打ち込んでの見事な大勝でしたが、それに奢ることのない冷静な試合運びが印象的でした。

エースの與座は終始ボールが上ずっておりましたが、ここぞという場面でビシッと低めに決めてくる集中力はさすがといった感じでした。優勝するには彼の力がもちろん必要なので、ここから調子を上げていくことを期待したいです。

(文=PN 山原

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

【愛知】享栄と愛工大名電が同ブロック、中京大中京は誉と大府東の勝者と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得