試合レポート

星城vs名古屋

2010.07.18

2010年07月17日 豊田市運動公園野球場

星城vs名古屋

2010年夏の大会 第92回愛知県大会 1回戦

一覧へ戻る

星城・山本

2年生好投手擁する星城が大苦戦

「初戦を勝ち上がれば星城×刈谷の好カードが2回戦で実現」。
組み合わせ抽選時から、そんな見方で紹介されてきた愛知大会Cブロック。だが、その星城が、2回戦に進むどころか、あわや1回戦で敗れ去るかの大苦戦を強いられた。

初回に1点を先制するも、チャンスでタイムリーを放つ名古屋打線はしぶとく、6回を終わって2-5と劣勢一方。それでも、星城サイドにはまだ余裕があるように見えた。だが、7回裏、8回裏とランナーは出るのに、走塁ミスやゲッツーで無得点。それでも、まだ星城の選手たちは悠長というか、切迫感がないように映る。

・・・大丈夫か!?あと1イニングで夏が終わるかもしれないんだよ?
と、筆者は心の中でヤキモキしながら見ていたところに、星城は9回表に痛恨の失点。
2-6と、ビハインドがさらに広がった。

星城負けるわ・・・。

だが、万事休すかと思われた9回裏になって、ようやく星城が必死になった。ベンチの控え部員全員が最前列に並んで声を出し、スタンドの応援団も心から祈るような雰囲気に変わったのだ。
そして、犠飛やタイムリーで4点を返し、最後の最後で同点に追いついた。

その必死さを、初回から出していてば、もっと楽な試合になっただろうに・・・。
なんて言っては、失礼かもしれないが、追い詰められないとやる気が起きない人(8月29日頃から夏休みの宿題を一気に片付け出す学生のような)を見るようなもどかしさを筆者は感じてしまったのも事実。選手らは「4点差でも負けるというムードはなかった」と言うけれども。

とはいえ、4点差を追いついた9回裏の星城ベンチの盛り上がりは、見ているこっちの気分まで高揚させてくれた。
凡打をしたら限りなく敗戦に近づく場面で、タイムリーを打った池田大、菊池勇志。この場面でよく打てるな~、と頭が下がる。筆者がその立場だったら、絶対に打てない。

***

筆者がこの試合を訪れたそもそもの目的は、星城の2年生投手2人を見るためだった。
先発した山本健太郎は、3イニングスを投げて降板。その間、相手の打順を2巡させるなど、苦労しているようにも見えたが、「ヒジのケガで最近まで投げられず、ほぼ“ぶっつけ本番”でこの試合に臨んだ。久々の割には結構投げられた方だと思います」と、チームの勝利もあって表情は暗くない。ゆっくりとしたフォームからクロスに踏み込んで、快活に腕を振ってキレのある快速球を投げていた。

一方、最速145キロの木原立遥は登板が無く、代打で出場してセンターの守備に入った。だが9回表にハーフライナーを後逸し(記録はヒット)、走者を生還させてしまう手痛いミスも。「あまりセンターの練習はしていなかったのですが・・・チームに申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と反省するが、そういう苦い体験も糧にして、本職の投手業で大きく羽ばたいてほしい逸材だ。

***

星城を追いつめた名古屋は「敢闘」という言葉がぴったりの、すばらしい試合を見せてくれた。
エース鈴木駿は、小柄な左腕。ゆるいボールを織り交ぜた投球で、星城打線に凡打の山を築かせた。中でも感心したシーンは、5-2とリードした7回裏の投球だ。先頭打者に対してカウントを0-3とするも、そこから2-3に立て直して三塁ファールフライ。続く打者もカウント0-2から2-2にしてセカンドフライ。星城打線も4巡目に差し掛かり、そろそろ投手のスタミナも切れて苦しくなってくる頃かな、という筆者の予想に反して、7回裏、8回裏を無得点で乗り切った。最終的に、9回裏に4点を失ってリードを守り切れなかったが、それまでの投球は心を打った。

打者では、ボールを柔らかく包み込むような巧みなミートで、1番彦坂崇仁が4打数4安打1四球の大活躍。投球にヒザで対応でき、体の返しが絶妙な美しいスイングをする6番塩原翔一も好打者だと感じた(それだけに、延長戦での2打席凡退は悔やまれるが)。

(文=尾関 雄一朗


[:addclips]

[:report_ad]

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.06

大阪桐蔭&履正社撃破の原動力! 超高校級遊撃手・今坂 幸暉(大阪学院大高)のドラフト指名はあるのか!?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.06.06

【佐賀】敬徳は唐津東と唐津南の勝者と対戦<西北部地区大会>

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・近畿地区】近畿一番乗りの抽選は17日の大阪、4府県が7月6日に開幕

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・北信越地区】新潟で21日に抽選会、7月5日の富山で組み合わせが出揃う

2024.06.01

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.01

【愛知】報徳学園は豊橋中央にサヨナラ勝ち、豊川には黒星<招待試合>

2024.06.01

【東京六大学】早稲田大が大勝で7季ぶり優勝に大手!プロ注目スラッガー・吉納が2発、エース伊藤は8回1失点の快投見せる!

2024.06.01

報徳学園の今朝丸がセンバツ決勝戦以来の先発!モイセエフは3番センターでスタメン出場!【招待試合スタメン】

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに