島田 直哉(龍谷大平安)甲子園100勝目へ向けたエースの成長と決意
甲子園出場回数全国最多の73回を誇る龍谷大平安。そのチームでエースを務めるのが最速148㎞の速球を武器とする本格派右腕の島田直哉だ。これまでに甲子園出場経験はないが、近畿でも屈指の好投手である。今回は島田投手にこれまでの野球人生や練習での取り組みを伺った。
島田が龍谷大平安を選んだ理由
島田 直哉(龍谷大平安)
――野球を始めたきっかけは何ですか?
島田 直哉選手(以下、島田) 3歳上の兄が野球をしていてその影響で自分も始めてみたいと思うようになりました。小学1年生から始めましたが、その前から兄のチームのグラウンドに行って体験させて頂きました。当時はピッチャーとキャッチャーを兼任していました。
――中学時代はどんな選手でしたか?
島田 中学2年生の秋までは衣笠中学校の野球部でしていましたが、2年生の冬から京都シニアに行きました。当時の球速は128㎞でしたが、キャッチャーが僕のボールを捕れなくて移籍しました。ちょうど硬式に転向するいい機会かなとも思いました。
――軟式と硬式の違いは感じましたか?
島田 最初は縫い目のかかり方が違っていましたが、自分は硬球の方が投げやすかったのであまり苦労した面はなかったですし、自分は手も大きい方なので苦しんだところはなかったです。中学最後の時点で球速は137㎞まで伸びました。
――龍谷大平安を選んだ理由は何でしたか?
島田 京都での強豪校と言えば龍谷大平安でしたし、高橋奎二さん(ヤクルト)が甲子園で投げておられる姿を見てカッコいいなと思い、自分も龍谷大平安のユニフォームを着て甲子園で活躍したいと思いました。中学3年生の春には龍谷大平安を志望しました。
――龍谷大平安の野球部に入部して感じたことは何ですか?
島田 アップが色んな種類があり、体を鍛えるところです。ブリッジで歩くのが最初はできなかったのですが、やっていくにつれてできるようになってきました。そのおかげで肩関節が良く動くようになって腕がスムーズに振れていくようになってきたと感じました。
――原田英彦監督は1年生の時の3年生はおっさんに見えたと仰ってましたが、島田投手から3年生はどのように見えましたか?
島田 3年生の代は入学する前のセンバツに出られていて凄くオーラがありました。同じ高校生に思えなかったです。
甲子園100勝目へ向けたエースの成長と決意
ピッチング練習を行う島田直哉(龍谷大平安)
――龍谷大平安に入学してから成長した部分はどこですか?
島田 球速は早くなったと思います。龍谷大平安のアップで鍛えて頂きました。今まで自分が使っていなかった筋肉や柔軟性を鍛えたことです。球速が伸びたと思います。
――自慢の速球を磨くために取り組んでいることはありますか?
島田 自分は体幹が弱いので、腹筋と背筋を鍛えて軸を作れるようにしています。後は監督さんにずっと言われているのですが、今はできていない片足屈伸ができるようになれば軸がしっかりできてくると思います。
――技術面で取り組んでいるところはどこですか?
島田 技術面ではフィールディングが下手なのでこの冬の時期は守備をメインにおいて練習が組まれています。
――ピッチングはどのような段階ですか?
島田 投げ込みが2月から始まる(2月7日に取材)ので今は感覚を戻して投げる体力をつけていきたいです。後は緩急をつける変化球をこの冬で覚えたいと思っていてチェンジアップの習得に取り組んでいます。今はスライダーとカーブとフォークを投げているのですが、それにチェンジアップを加えていきたいと思います。
――この2年間で印象に残っている試合はどの試合ですか?
島田 2年夏の京都成章との決勝です。3年生の最後の大会で甲子園がかかっているという凄くプレッシャーのかかる試合で先発させて頂きました。自分は「絶対勝つ」と思っていたのですが、あまり自分のピッチングができていなかったのが、打ち込まれた原因だと思います。
3年生最後の夏で自分がああいう形で試合を壊してしまって本当に申し訳なかったです。自分ではいつも通りという感じでしたが、監督さんからは「顔が引きつっている」と言われ、気持ちの弱さが出たと感じました。
――(準々決勝の京都翔英に敗れセンバツ出場を逃した)秋の結果についてはいかがでしたか?
島田 秋も夏の悔しさが活きていなくて、自分が先に点を取られた後に打線が援護してくれてくれたのにまた自分が点を取られてしまいました。自分の力のなさを感じた秋でした。
――現状の課題はどこだと思っていますか?
島田 気持ちの部分を強くすることを課題としています。気持ちで負けていたらいつものピッチングがどれだけ良くても、気持ちで負けていたらそのピッチングができないので、気持ちをもっと強くするためにランニングや色んな練習でも気持ちを強くしてやっていきたいと思います。
――(甲子園通算99勝の龍谷大平安。100回大会での100勝という大きな期待もかかっている)夏に向けての意気込みをお願いします。
島田 自分たちは夏の第100回大会しか残っていないので100回大会に向けてこの悔しさを絶対にバネにしてラストに賭ける思いを強く持って絶対に100回大会で甲子園100勝をしようと思っています。
――理想の投手はどんな投手ですか?
島田 真っすぐで抑えるピッチャーになりたいですし、150㎞という数字は絶対に春には出したいと思っています。それにコントロールをもう少し磨いて、外と内の出し入れを完璧にできるようにしていきたいです。手本にしているのは楽天の則本投手です。ボールの回転数が凄く多くてファールチップが多いところを見習いたいです。将来はプロ野球が目標なのでプロの世界に入って活躍したいです。
素材では高校野球界でもトップクラスの島田。昨年の悔しさを乗り越え、夏に進化した姿を見せてくれるだろうか。日の目を見る日はもうすぐだ。
文=馬場 遼