Interview

石橋康太(関東一)「世代を代表する強肩強打の捕手へ まずは足元を大事に」

2017.09.19


石橋康太(関東一)

 関東一・強肩捕手・石橋康太。中学時代から強肩捕手として注目された石橋は、鳴り物入りで関東一に入学。1年生ながら出場した昨夏の甲子園では堀瑞輝広島新庄-北海道日本ハム)から2安打を記録。2年夏では東東京大会で4試合連続弾を放ち、華々しい活躍を見せた。現在、高校通算32本塁打。スローイングタイム1.84秒と攻守両面で凄みがある石橋。そのポテンシャルの高さから、next中村奨成の呼び声も高い石橋の歩みを追った。

まずは足元をしっかりと見つめてレベルアップしたい

 千葉市シニア時代から強肩強打の捕手として注目され、スローイングタイムは1.9秒台。中学生離れしたスローイングを高く評価された石橋は、先輩が多く通っている関東一の入学を決めた。
 中学までは自分の肩だけで勝負していたが、高校でのスピードの違いを痛感した。

「スピードある走者の前では、肩を見せつけるだけでは勝負になりませんし、コントロールを意識したり、ギャンブルスタートの場面では思い切り投げたり、今日も握り替えをしっかりとできず、盗塁を許してしまったのは反省点です」

 走者を刺すには、一瞬の動作のミスも許されない。そういう緊張感をもってプレー している。1年夏から甲子園で活躍した石橋だが、2年冬に膝の半月板損傷で、手術を行った。うまくいけば春に間に合う予定だったが、先輩たちがいる中で、不安を残したままプレーするのではなく、しっかりとリハビリをして、夏に間に合わせることを米澤貴光監督と話し合った。結果として、米澤監督と石橋の2人で話し合った復帰計画は最高の形として現れた。この夏、4試合連続本塁打。しかも4本とも都内の球場では広い神宮球場で放ったものである。打球は打った瞬間、本塁打とわかる素晴らしい当たりばかりであった。石橋は活躍の要因をこう振り返った。

「夏の大会では、ファーストストライクからどんどん打っていけたことが活躍につながったと思います。打てる捕手になりたいと思っていましたし、打率4割近く打つことができたのは自信になりました」
新チーム後の練習試合でも長打を量産し、高校通算本塁打は32本まで伸ばしたが、大森学園戦では3打数1安打。試合後も、米澤監督から入念な話し合いを行った。

 「監督さんから、自分のだめなところをしっかりと指摘いただき、自分も底をしっかりと理解して、秋の本大会へ向けてやっていきたいです。昨秋も試合に出させていただきましたが、秋は打撃の調子を落としてしまったのが反省点です。今年は少しずつ上げていけるようにしていきたいですし、大事なところで打てる打者となりたい」
米澤監督は打撃復調のきっかけは「考えすぎない」ことだと考えている。
「性格上、打てないと考えこむ、考えすぎるところがあると思います。そうではないよと、余計なことを考えすぎず、ファーストストライクから打つことを話しました。夏も活躍できたのは、そういう積極性がありましたからね」
石橋の話を聞いていても、「考えすぎてしまう」性格はよくわかる。だが、捕手はこれぐらいの繊細さがないと務まらない。

 とはいえ、今年のチーム状況で、2年ぶりの東京都制覇を果たすには、やはり石橋の打撃がカギとなる。だが、石橋は捕手という特殊なポジションを守りながら、4番を打つ。かなり難しい役割にいる。石橋はこう割り切って打席に立っている。
「4番打者ではなく、4番目の打者として打席に立っています。3番を打つ斎藤は勝負強く、しっかりと返してくれる。そして5番泉もよい打者ですし、僕も一死二塁か無死二塁だったら、最低限の進塁打が打てればと思っています。チームのためになるような一打をうちたい」
そして正捕手として勝利に導くことが第一だ。
「これは2年前の正捕手である佐藤さんから言われた言葉ですが、『捕手は他のポジションにない唯一のものがある』と。僕は打てる捕手になりたいという理想があります。まずは守備9割で、勝たせることを意識したい」
また石橋はミレニアム世代を代表する捕手になるかもしれない逸材である。最後に同期で活躍している選手たちを見て、石橋はどう感じているのか、聞いてみた。

 「U18で活躍した小園海斗藤原恭大、そして野村大樹を見ると負けていられないとはありますが、比較すると、彼らは自分の手の届かないところにいる。まずは上を見るのではなく、足元を見て、しっかりとやっていきたいです」

 
関東一の選手に石橋について聞くと、誰もが「凄い選手です」と口をそろえる。それでも勘違いすることなく、自分の課題を受け止め、冷静に物事に取り組む姿を見せてくれる石橋。その積み重ねが続けば、いつか全国の高校野球ファンを惹きつけるスーパーキャッチャーになるはずだ。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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