応援される部として選手たちを盛り上げられるように! 中央学院(千葉)吹奏楽部
今春の選抜甲子園に出場した学校のうち初出場は10校。その中の1校が中央学院である。昨秋の関東大会優勝校で、選抜では神宮大会王者・明徳義塾を苦しめた。
今回訪問したのは初めての聖地で躍動した野球部を後押しした中央学院吹奏楽部である。野球部同様、初めて甲子園の舞台で演奏することとなった吹奏楽部。経験したことのない舞台で苦労したことや、日頃大切にしていることは何なのか。お話を伺った。
少ない人数でも遠くまで響かせる
「火・土・日の計3日間くらいしか全員が集まれないんです」
部員数は3学年で31名。決して大人数ではない中央学院吹奏楽部。加えて補習や委員会があって、全員揃っての練習がなかなかできない。 その結果、平日は個人練習が増えてしまうだけでなく、合奏をする時はテンポ感にズレが生じてしまい音を揃えることが難しい。顧問の関聡美先生は、部活動の現状と抱える課題を語ってくれた。
そんな環境でも部員同士の関係をしっかり構築するために、「係」という、部長以外の役職を設置した。
生徒の体調を管理する保健係や、金銭を管理する会計係などの様々な「係」を設けることで同じ楽器やパート以外の先輩とも関係を深められればと関先生は考える。
その係に部員全員が1年生の夏から関わることで、自分がいなければ部活動が成り立たない責任感を持たせることも狙いにあった。部長である中村真未さんは「責任感を持って行動できている」と係の効果を実感している。
中央学院吹奏楽部の皆さん
少ない人数ではあるが、確かな信頼関係を持って練習に取り組む中央学院吹奏楽部。そんな彼女たちは普段、室内でブレストレーニングという息の使い方を鍛える練習をしているが、野球部応援が近づくと、その練習を外で行っている。
こうすることで、実際に球場で遠くまで音を届けることを意識している。また、野球部応援はどれだけ楽譜を覚えて演奏ができるのかがポイントになる。高い精度を求めるコンクールとはスピード感でも違いがあると関先生は話す。
音の大きさとスピード感が大事な野球部応援だが、球場に行ったときの関先生の動きは慌ただしい。
「(試合中も)相手の席の方に移動して音の聞こえ具合を確認します」
当たり前のように関先生は話すが、つきっきりで生徒に指導するのではないというのは意外だ。しかし、これにはしっかりとした理由がある。
「球場によって音の跳ね返りは違うので、相手の席に行ってどんな風に自分たちの応援が聞こえているのか。そのチェックをするために動き回っています」
もしそれで音の響きがあまり良くないのであれば音を出す向きを調整するなどして、一番響く向きを探すのだ。ここに吹奏楽部として応援する責任感が垣間見えた。ここで意外だったのが、音を遠くまで届けるという野球応援で大切にされていることが、コンクールにも必要な技術であるということだった。
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初めての甲子園は忙しい!
顧問の関聡美先生
千葉県内の球場にはほぼ行ったことがある中央学院吹奏楽部だが、甲子園のスタンドに足を踏み入れたのはこの春が初めてだった。
この時は、「球場が広いと感じました。あと、楽器の響き方が全然違うので、全体が合わなくて焦りました。」と経験したことのない球場に戸惑いを感じた。しかし、当時サポートに来てくれた大学生や卒業生の代表の方々と中村部長が話し合ったことで全体が一体となって応援することができた。
初めての甲子園では様々な経験を積んだ中央学院吹奏楽部だが、この場所で演奏するために関先生は、出場決定してから準備を始めていたのだ。
「楽器を準備したり、生徒の服装を揃えるために新しい衣装を準備したり、卒業生・大学生への演奏協力の連絡。それに伴って緊急連絡先の作成。さらに楽譜の準備と、かなり忙しい冬を過ごしていました。」
部長の中村さんは、「甲子園は初めて尽くしでわからないことだらけだった」と話したが、それは関先生も同じだったのだ。しかし生徒たちは定期テストで頑張っていることを考え、自身も頑張ろうと鼓舞し、初めての甲子園への準備を着々と進めたのだった。
これから夏の千葉大会での野球部応援に行く吹奏楽部だが、関先生は「純粋に仲間たちが頑張っているスポーツを応援して楽しんで欲しい。感動を味わって欲しい」と願っている。それと同時に、応援される部活でありたいと話す。
「自分たちもコンクールになれば応援する立場から、応援される立場になります。コンクールの時に一番悲しいのが、誰にも応援に来てもらえないことなんです。だから互いに応援しあえるような関係を築ける。そんな部活でありたいんです。」
互いに応援される部活を目指す中央学院吹奏楽部は、再び甲子園を目指す野球部を、この夏もスタンドから支える。関先生は夏に向けてこんなコメントを残してくれた。
「会場の雰囲気づくりが応援にとっては大事。雰囲気が暗くなっている時こそ盛り上げられるように生徒に指導をしていきたい。」
笑顔が絶えない関先生だったが、この言葉からも野球部応援にかける想いが伝わってきた。
次のページからは、部長の中村真未さん(以下、中村)と河村梨奈さん(以下、河村)にお話を伺いました。
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自分の応援が選手たちに届いていることが嬉しい!
左から河村梨奈さん、中村真未さん
ここからは部長の中村さんと野球応援係の河村さんの2人にお話を伺いました!
――Q野球応援とコンクールの時は何か違いはありますか?
中村:
コンクールのようなきれいな音というよりも、全体的に大きな音が出せるかというのがやはり応援のポイントになっています。逆にコンクールの練習をやる時に、応援の勢いで音を吹いてしまうと、全体的に雑になっちゃいます。
河村:
コンクールは技術が大事ですが、野球応援は遠くにいる選手にしっかり音を届けることが大事です。
――Q今春は初めて甲子園の舞台に行きましたが、印象はどうでしたか。
中村:
入った瞬間、広いと感じました。広い分、ちゃんと届いているのかな?という不安はありました。けど演奏すると響きが今までとは全然違って、感動でした!
河村:
人が多すぎて圧迫感があったりと、とにかく凄かったです(笑)それと音が響いている分、自分の音が初めて聞いたような、そんな感覚でした。
――Qお気に入りの一曲はありますか?
中村:千葉ロッテマリーンズの福浦選手の応援歌がお気に入りです!ついつい帰り道に口ずさむくらい好きです。あとは得点が入った時に野球部員が踊りながら歌う、「俺たちの誇り」が一押しです!
河村:チャンス襲来という曲が好きです。野球部からこの曲の評判が良いので、私の中では大事にしています。
――Q野球部応援の醍醐味って何ですか?
中村:自分の声で選手が頑張ってくれていると思えるので楽しいです。
河村:自分たちの吹く音が人の心に届いているのが確実に分かる。自分の中で自信になるのが野球部応援なので大好きです。
そもそも吹奏楽は人に聞いてもらうことで成立するモノなので、野球部応援はぴったりだと私は思っています!
――Qこれから夏の応援が始まりますが、夏だからこそ気を付けたいことや大変なことは何ですか?
中村:体調管理ですね。元々の応援の時にお菓子や飲み物、凍らせたペットボトルを持ってきている。それで自分たちのチームが守備中に塩分補給もして、体調を整えています。
あと日差しがある分、木管楽器は焼けないようにタオルを使っているので、余計に響かないといった問題もあります。
河村:熱中症は大丈夫なのですが、とにかく日焼けだけは気を遣っています。
――Q最後に、この夏どんな応援で選手を後押ししたいですか?
中村:夏の大会でも甲子園に行けるような応援をして、応援の力で野球部の背中を押せるように心に届く応援・声・音を出していきたいです。
河村:野球部の人がどんな練習や3年間過ごしているか全部を知らないですが、放課後に一生懸命練習をやっているのを知っています。その努力が実るような応援をしたいです。
初めての舞台で甲子園の魅力を感じた中央学院吹奏楽部。この夏再び聖地に戻るために、スタンドから精一杯の応援で選手を後押しする。
■作新学院メドレー
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