第47回 都立校の健闘と躍進で面白くなったが、私立校圧倒の勢力図は変わらず(東京都)2017年04月30日

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【目次】
[1]歴史を作り上げてきた私立高校
[2]都立の躍進も私立の圧倒的強さ変わらず

歴史を作り上げてきた私立高校

早稲田実時代の斎藤 佑樹(写真提供=手束仁)

 学生スポーツの歴史をたどると、早慶の関わりは避けて通れない。まして、東京はそのお膝元といっていい。慶応はやがて神奈川へ移転するが、早稲田は東京の雄として存在し続けている。高校野球でいえばその役は早稲田実業が引き受けている。21世紀になって新宿区早稲田(グラウンドは武蔵関)から国分寺(グラウンドは南大沢)へ移転し、区分も東東京から西東京への移動になったのは、東京都の高校野球地図としては多少の影響があったのは確かだ。

 早稲田実業といえば世界の本塁打王・王貞治(読売、現ソフトバンク会長)の母校であり、王投手で57年春に全国制覇して、甲子園でも「WASEDA」の力を見せつける。さらに、早稲田実業が注目を浴びたのは、荒木大輔(ヤクルト→横浜)が1年生投手で活躍して準優勝を果たした78年夏である。以降、「早実フィーバー」で甲子園に女性ファンを増加させたとも言われた。これで、甲子園のファンには確実に早実の早稲田スタイルのアルプススタンドの応援雰囲気ともども定着させた。そして06年夏は斎藤 佑樹(早大→日本ハム)が登場して全国制覇。一躍ヒーローとなり、話題の中心となっていった。

 同じ西東京では東京を代表する名門としては日大三が、選手の質、環境、近年の実績すべてで完全にリーダーとなっている。

 62年春には倍賞明などで準優勝を果たしている。これが日大三の最初の存在感を示す活躍となるが、71年72年と春に連続して決勝進出して、優勝、準優勝と実績を積み上げていく。そして01年に近藤一樹投手(近鉄→オリックス)らで全国優勝して、通算最高打率を残して「打棒の日大三」も印象づけた。さらに、2010年春に準優勝して、翌年夏には二度目の全国制覇を果たす。この時も、圧倒的な打撃力が看板となっていた。

 この春は、この両校が揃ってセンバツ甲子園に出場した。

 早稲田実業が荒木大輔で準優勝した年の春には、帝京が準優勝を果たす。その2年前に初めて甲子園に登場した帝京だが、やがて全国でも屈指の強豪となっていく。帝京早稲田実業を下して夏の甲子園に姿を現すことになるのは83年だ。一度壁を打破して以来、帝京は毎年毎年チーム力を蓄え、いつしか東京都では一番の素質軍団となる。甲子園でも、夏2回、春1回の全国優勝を果たす。

帝京高校時代の杉谷 拳士(写真提供=手束仁)

 帝京の活躍に刺激を受けてか、84年春には岩倉PL学園を倒し、初出場初優勝の快挙を果たす。相前後して二松学舎大附関東一といった甲子園でのキャリアが浅い学校も準優勝をするようになる。

 このあたりから、東京代表は比較的春のセンバツに強いということが定着してきた。それは、一つには少年野球の好素材の選手が入ってきて、素材のよさがそのまま生きる秋季大会から春のセンバツにかけてチームがピークになるということもあるのではないかとも考えられた。

 東京都のレベルが向上した要素としては、時代の流れとともに都会にリトルリーグを中心とした少年野球が普及してきたことも大きい。少年野球と一口にいっても範囲は広い。その中で、一番注目されるのは調布や現在は武蔵府中や世田谷などに代表されたリトル・シニアリーグだった。私立校で野球部を強化している学校は、こうした中学時代から硬式球に親しんでいる選手たちの存在が大きく影響していた。こうして東京都の高校野球は、とくに少年野球の情報はチーム強化に欠かせない要素にもなっていっている。

 2015年夏には、そんな選手たちの活躍で東東京の関東一、西東京の早稲田実業の両校が甲子園でベスト4に進出している。強い東京勢の存在を、改めて全国に示すこととなった。

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