全国優勝の花咲徳栄(埼玉)の女子マネに直撃!支える立場でも野球部の理念「全員野球」を忘れずに!
この秋、埼玉西武ライオンズ2位指名の西川 愛也、中日ドラゴンズ4位指名を受けた150キロ右腕・清水達也、東北福祉大に進学する綱脇 慧、来年の注目バッター野村 佑希を擁し埼玉県勢初の夏の甲子園制覇を成し遂げた花咲徳栄。
全国を代表する名門校のマネージャーは、日々どんな仕事をしているのか。そしてあの夏、スタンドからどんな想いで選手を見守っていたのか。同校のマネージャーの取り組みに迫った。
選手からより頼られる存在へ!
阿部 蘭さん(花咲徳栄)
現在の花咲徳栄野球部員は、今年の3学年で126人という超大所帯のチームだった。そんな大人数のチームを支えるのが3年生の中村 彩乃さん、武井 夏樹さん、杉本 亜優さん、2年生の阿部 蘭さん、関 ちはるさん、吉野 里菜さん、1年生の小田切 あさひさん、篠原 芽唯さん、高橋 千乃さん、古川 侑菜さん、平山 莉子さん、河端 悠花さんの計12名のマネージャーだ。
今回は、マネージャーを代表して阿部 蘭さんに詳しくお話を伺った。
主な活動は、選手が飲むジャグを作ることやベンチを拭くといった環境整備。また来訪者が来た際には、お茶出しが中心になっている。花咲徳栄のマネージャーはどんな存在でありたいかを聞くと、「お母さん的存在であり、お姉ちゃん的存在でもある」と答えてくれた。
そんな阿部さんがマネージャーになったきっかけが、「中学3年生の夏、ソフトテニス一筋だった自分の心を動かしてくれたのが花咲徳栄の野球だった」と言う。高校に入り、マネージャーという仕事に就いたことで、「自分のことより人のことを優先して考え、一言一言、言葉遣いを気にするようになった」という点で変化があったそうだ。
日々多く活動がある中で一番楽しい瞬間を訪ねると、「アナウンスをしている時」と答えてくれた。さらに、嬉しかったことについて聞いてみると、「みんなが大会でメダルを受け取っている時が一番嬉しいです。」と選手ともに喜びを分かち合っていることが見えてきた。
自慢できるエピソードについて聞くと、「全国優勝をして名前が知れ渡ったこと」と挙げるように今年の花咲徳栄は甲子園で熱戦を繰り広げた。そんな甲子園での数多くの試合の中に、印象に残っている試合があったと言う。それは、甲子園準決勝の西東京代表、東海大菅生との一戦だった。
「初のベスト4を決め、さらに初の決勝進出をかけたこの試合、9回裏に追い付かれてしまっても延長11回に勝ち越して勝利。たくさんスタンドで応援してきた中でも1番、一球一球に握っていた手に力が入るハラハラした試合でした。決勝進出が決まった瞬間、みんなが泣いていて抱き合ったのを覚えています。花咲徳栄の“全員野球”をとても感じた試合でした」
花咲徳栄の“全員野球”の意識は、こんなところからも感じられた。日々の活動の中で心掛けていることについて聞くと、「訪ねてきた人にとって対応する自分たちは、顔であるということ」という花咲徳栄野球部員としての意識が伺えた。
最後に、日々練習に励むチームの選手たちに向けてのメッセージを!
「みんなの練習している姿、大会でプレーしている姿がマネージャーの元気の源です。来年の夏に向けて一緒に頑張りましょう」
阿部さんにこれからどんなマネージャー像を描いているのかを聞くと、「頼ってもらえるような存在になれるよう、レベルアップしていきます」と意気込みを語ってくれた。
選手だけでなく、マネージャーも現状維持に満足せず、常に高い志をもって日々の練習に打ち込んでいる。そんなチーム全体が高い意識を持つ、まさに“全員野球”の心で取り組む花咲徳栄。来年も見逃せない。