試合レポート

東京成徳大高vs学習院

2023.07.16


東京成徳大高・西 絆斗
SCORE
共栄学園
東亜学園
1234567891011121314
2 0 1 0 1 1 0 0 7
1 0 0 3 0 0 0 2 0
TOTAL
12
6

奄美大島から来た強打者が公式戦初アーチ、シード校・東京成徳大高がコールドで初戦突破

<第105回全国高校野球選手権東東京大会:東京成徳大高8ー0学習院>◇16日◇3回戦◇神宮

近年、東東京で力を付け始めている東京成徳大高。グラウンドは広さに制限がありながらも、この夏の東東京大会ではシード校として、トーナメント表の四隅に入るなど、躍進が目立っている。16日の3回戦・学習院戦では、初回からいかんなく実力を発揮した。

1番に入った西 絆斗内野手(3年)がいきなり左翼席に運ぶホームランで東京成徳大高が先制に成功。これで勢いづくと、もう1点を追加して初回から主導権を握る。2回にも7番・小尾 涼介外野手(3年)の安打からチャンスを作り、1番・西が今度は変化球に上手く対応。適時打を放ち、3対0と学習院を序盤から突き放した。

3、4回も得点を積み重ね、5回までで5対0とリードを広げると、後半も勢いそのままに学習院に襲い掛かり、6回には4番・篠原 一誠内野手(3年)の犠牲フライで7点目。7回にはダメ押しの追加点を記録し、8対0の7回コールドで初戦突破を果たした。

どのチームも初戦は難しい、とはよく言われるが、東京成徳大高は微塵も感じさせなかった。チームカラーである「1点ずつ取って、守備をしっかりやる」戦いを体現したなか、1番・西の働きが大きかった。

「春の大会から、第1打席で出塁すると勝っていたので、意識していた」という第1打席で、狙っていた直球をしっかり捉えた。打球の行方は見ていなかったが、感触はばっちりだった一発は通算4本目、公式戦では初のホームランとなった。

長打力は西にとって課題だった。2年生の春先までは当てるようなバッティングばかりで、長打力に欠けていた。そんな西に「長打が出るようにならないと勝てない」とコーチから指導を受け、身体づくりに力を注ぐようになった。

ベンチプレスなどのウエートトレーニングはもちろん、「体幹を使えるようなスイングをする」ことも目指して、腹筋などにも取り組んだ。体重は3キロほど増えて70キロまで到達し、「しっかりスイングできている感覚がありますし、良い打球も増えた」と成長に手ごたえを感じていた。

練習では、身体を開いて大振りすることなく、「センターから逆方向を意識する」バッティングを徹底し続けた。そして迎えた学習院戦、体重増加をしたこともあり、第1打席では公式戦初のホームランを放ち、2打席目では、体幹強化によって変化球が来ても体勢が崩れない安定した打撃フォームで、変化球にタイミングを外されながらも適時打を放った。確かな成長を示す2打席だった。

指揮官・森田監督も「かなり楽になった」というホームランを含め、3安打2打点の活躍。西は1番打者の役割を十分に果たした。

試合前日から地元・奄美大島にいる両親が観戦に駆けつけていて、「思い切り暴れてこい」とエールをもらっていた。そのエールにも応える活躍を見せた。4回戦以降も活躍は続くか。「甲子園で勝つ」という目標に向かって、次戦以降も攻守でチームを引っ張る。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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