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下級生主体のチームで戦うことを選んだ加藤学園。3年生たちのためにもう一度甲子園へ

2020.08.13

「3学年全員の力を結集して戦おう」。

 春夏通じて初めての甲子園の出場となった加藤学園。12日の鹿児島城西との試合では終盤のチャンスをつかんで見事に甲子園初勝利。

 初の甲子園で校歌を歌った加藤学園ナインのベンチ入りメンバーを見ていくと気になることがあった。

全国での勝利のために選んだ競争

下級生主体のチームで戦うことを選んだ加藤学園。3年生たちのためにもう一度甲子園へ | 高校野球ドットコム
甲子園初勝利を掴んだ加藤学園(*写真は昨秋東海大会県立岐阜商戦より)

 今大会は20人がベンチ入り出来るが、そのなかに3年生の選手がベンチ入りしたは6人だけ。残りは1、2年生がベンチ入りを果たしており、スタメンでは、1番ショート・太田 圭哉(1年)、4番レフト・植田 颯斗(2年)、8番キャッチャー・雨宮 快成(2年)、8番センター・佐野 陸斗(2年)と計4人の下級生が名を連ねた。

 今年は多くのチームが3年生を多く試合に起用する傾向にあるだけに、加藤学園はなぜ下級生が多いのか。その経緯について、4番・ファーストでスタメン出場を果たした勝又 友則主将はこのように語る。

「3年生とは話し合って、最後は3年生だけではなく3学年全員の力を結集して戦おうというのがありました。ですので、3学年でベンチ入りの競争をした結果、下級生が勝ち取ったという形になります」

 あくまで3年生だけではなく、チーム全員の力で初めての全国の舞台で白星を上げることが大事だと考え、ベストメンバーを選んだ結果、1、2年生が14人ベンチ入りを果たすこととなった。

 では先輩に代わってベンチ入りして、試合に出場した選手たちは何を感じながらプレーをしたのか。捕手の雨宮はこのように語る。

「3年生をはじめ、ベンチに入れなかった上級生の方が練習を手伝ってくださっているので、試合が出来るのは当たり前ではないと感じています。ですので、そういった方々への感謝の気持ちを忘れずに戦おうと言うことはチームの中で話ながら戦ってきました」

 勝又主将も雨宮と同じく、「この日までサポートしてくれた3年生に感謝しながら甲子園で試合が出来たと思います」と語っている。

 下級生たちは甲子園で躍動。1年の太田は2安打。守備でも好プレーを連発。佐野、植田も1安打ずつ、雨宮は完投勝利に導く好リードを見せた。

 多くの選手から「感謝」という言葉は取材をしている中で聞いてきたが、加藤学園にとっての感謝は一味違う「感謝」であることは間違いないだろう。そして鹿児島城西に勝利できたことは、3年生への恩返しになった。

 キャッチャーの雨宮をはじめ、1年生ながら1番に座った太田 圭哉など多くの下級生が甲子園を経験した。

 そんな加藤学園の新チームは例年の静岡大会代表という扱いで、県大会出場が決まっており、東部地区予選の順位決定戦からの登場となる。

 再び甲子園に戻ってきて全国の舞台で勝ち上がっていくことが3年生たちへの恩返しとなるはずだ。

(記事=田中 裕毅)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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