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ミレニアム世代の投手ビッグ3や指名有望な逸材の将来性を徹底解剖!【高校生編投手】

2018.10.21

 ドラフトで大事なのは選手をカテゴライズすることである。基本的なのは
・右投手
・左投手
ここから身長、投球フォームで分けていくともっと見方が深まるが、現状は右、左 の2タイプで分けたほうが理解が深まるだろう。今回、ドラフト候補に挙がる投手を紹介していこう。

ミレニアム世代のビッグ3はこの3人だ!

ミレニアム世代の投手ビッグ3や指名有望な逸材の将来性を徹底解剖!【高校生編投手】 | 高校野球ドットコム
左から、引地秀一郎(倉敷商)、吉田輝星(金足農)、渡邉勇太朗(浦和学院)

 まずは右の本格派でトップクラスの投手を紹介していこう。

 トップクラスの投手は3位以内に消えていてもおかしくない投手である。

 右投手でトップクラスなのは吉田輝星金足農)、渡邉勇太朗浦和学院)、引地秀一郎倉敷商)の3人だろう。
 吉田はプロか大学かで揺れていたが、10月10日にプロ志望を表明した(第770回 吉田輝星(金足農業)がプロ志望!プロ志望の決め手は「全国大会で自信をつけたこと」)。中泉監督はこの日の取材で、「志望が決まったので、9球団から調査書がきております」と多くの球団が指名候補として調査を始めており、戦略が練り直されている状況である。実際に吉田はその価値がある投手だ。下半身主導で、トップスピンが欠けられるフォームから繰り出す直球の最速は152キロまで伸び、スライダー、スプリット、そして国体後から磨いているカーブと変化球の精度も高まった。さらに、フィールディング、けん制もハイレベルで、間の取り方が絶妙。日本人投手として理想的なスキルが備わっているのが吉田なのである。

 そして投げると、一気に味方をつけるような雰囲気。ほかの投手にはなく、なかなか得られないようなスター性を持った投手であり、エンタメ性も重要なプロ野球にとってドラフト1位候補に挙がるのは当然である。

 渡邉は大谷翔平のフォームをまねて、急成長を見せた。189センチの長身から繰り出す直球は好調時は140キロ後半を計測。140キロ近いツーシーム、キレのあるスライダー、フォーク、カーブといずれも精度が高く、将来の先発ローテーション候補としてこれ以上ない素材だ。この1、2年で大学・社会人の選手に負けない体の厚みが出てくれば、常時150キロが期待できる投手となるだろう。

 引地はこの1年で、実戦力が大きく上がった。もともと150キロを投げられるポテンシャルの高さがあったが、制球力が粗かった。しかし夏にかけて制球力、変化球の精度が格段とレベルアップ。150キロ前後の速球、キレのあるスライダー、落差鋭いカーブ、フォークを投げ分け、岡山大会で24イニングを投げ、24奪三振、5失点の快投を見せた。

[page_breakひいき球団に加えておきたい右腕・左腕たち]

ひいき球団に加えておきたい右腕・左腕たち

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勝又温史(日大鶴ケ丘)、市川悠太(明徳義塾)、米倉貫太(埼玉栄)

  続いて中位で指名されるであろう投手の顔ぶれを紹介していきたい。
 侍ジャパンに選ばれた市川悠太明徳義塾)は、右サイドでは高校生ナンバーワンピッチャーといえる実力を持った投手だ。145キロ前後の快速球、キレの良いスライダー、シンカーを投げ分け、ピッチングを展開する。強気にピッチングができる投手で、持っている実力はトップクラスだ。

 勝又温史日大鶴ヶ丘)も楽しみな速球派だ。テークバックを大きく取ったフォームは躍動感があり、150キロ前後の速球は威力抜群。135キロ前後のカットボールの精度も高く、楽しみな本格派である。打たれることを恐れず、腕を振ってなんぼの投手なので、その特徴を生かせるポジションにつかせたら、活躍できる可能性を秘めている。

 米倉 貫太埼玉栄)の評価も高い。上半身、下半身が連動した高い完成度を誇るフォームから繰り出す140キロ中盤の速球、縦割れのカーブは絶品。本来であれば、今井達也(元・作新学院)レベルまで進化していてもおかしくない逸材だと思うが、ピークを迎えるのはプロ入りしてからだと信じたい。練習試合では素晴らしいと聞くだけに、それを実戦で発揮できるメンタルをプロの舞台で備えたい。

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柿木蓮(大阪桐蔭)、田中法彦(菰野)、戸郷翔征(聖心ウルスラ)

 戸郷 翔征聖心ウルスラ)も面白い。独特の腕の振りから繰り出すストレートは常時140キロ後半。140キロ越えのカットボール、130キロ後半のスプリット。宮崎県選抜として出場した戸郷は侍ジャパン相手に力投を見せたが、対戦した打者のほとんどが「変化球の切れ味は大学代表と変わらない」と脱帽していた。先発よりもリリーフで生きそうなタイプだ。

 田中 法彦菰野)は、最速152キロのストレート、曲がりが大きいスライダーを武器にする実戦力が高い速球派。完成されている投手なので、早くから二軍でローテーション入りして実績を作っていき、一軍デビューもできそうな投手だ。

 夏の甲子園優勝投手となった柿木 蓮大阪桐蔭)も実戦力が高い速球派右腕。ギアを入れた時の速球は140キロ後半を記録し威力抜群、縦横のスライダーの切れ味も抜群。気力がみなぎったときのピッチングは打てないと思わせる迫力があった。柿木はコンディショニングによってストレートの球速が大きく変わっているので、好不調の波が少なくなれば早い段階で活躍できる投手となるだろう。

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垣越建伸(山梨学院)、荘司宏太(駿台甲府)、矢澤宏太(藤嶺藤沢)

 さて左投手では、垣越 建伸山梨学院荘司 宏太駿台甲府)、矢澤 宏太藤嶺藤沢)の3人に注目。垣越は山梨大会で15イニング、26奪三振、1失点、1四死球と抜群の安定感を誇る大型左腕。好調時は140キロ中盤を計測するだけにその能力をプロで発揮できるかがカギとなる。

 荘司もこの夏、145キロまで伸びた本格派左腕。数少ない貴重な速球派左腕である。矢澤は下半身主導の動きから投じる常時140キロ台の直球、キレの良いスライダーを披露する左腕。まだまだ粗削りなところはあるが、相対的に見て全国トップクラスの実力を持った左腕であり、良いところを引き出せば、プロでも先発で活躍できる可能性を持っている。

[page_break地方にぞくぞくいる速球派投手たち]

地方にぞくぞくいる速球派投手たち

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見逃し厳禁の投手たち

 ここから地方の好投手を紹介していきたい。甲子園に出場した沼田 翔平旭川大高)は力みのないフォームから繰り出す140キロ前半の速球、スライダー、カーブをを投げ分け、無理なくピッチングを組み立てられるのが強みだ。198センチの長身から角度ある140キロ前後の速球を投げ込む大窪 士夢北海)、西舘 洸希盛岡三)はこの夏、佐々木朗希大船渡)と投げあった怪腕。140キロ前後の速球、キレのあるスライダーをコントロールよく投げ分ける実戦派だ。

 最速144キロを誇る佐藤 智輝山形中央)、常時140キロ台の速球と落差が鋭いフォーク、スライダーで勝負する実戦派右腕・細川 拓哉明秀日立)、最速145キロを誇る大型右腕・清宮 虎多朗八千代松陰)、古谷 拓郎習志野)は最速146キロのストレート、スライダー、縦割れのカーブを内外角、高低に投げ分けができる本格派。直江 大輔松商学園)もしなやか且つ力強い腕の振りから繰り出す140キロ中盤の速球、カーブを売りにする本格派。

 また、好調時には150キロを計測する鈴木裕太日本文理)はリリーフタイプとしては絶好の素材。パワーを全面に押し出したピッチングを期待したい。最速145キロ右腕・水野 喬日湖西)、下級生の時から140キロ前半の速球を投げ込んでいた横田龍也(豊田工)、細身の体型から140キロ前半の速球を投げ込む宮城 滝太滋賀学園)、公立校ながら140キロ後半の速球を投げこむ右腕として多数の球団から注目された羽田野 温生汎愛)、ミレニアム世代の左腕では最もビッグサイズの横川凱大阪桐蔭)はまだ自分の力を引き出せていない。この体格で球速が大きく上がれば、立ち位置が大きく変わる可能性を持っている。

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地方にもいる活躍の可能性がある投手たち

 147キロ右腕・靏 仁石見智翠館)は好調時は常時140キロ後半記録する。持っている能力は全国トップクラスの土居 豪人松山聖陵)は大化けすれば、同世代の中でも一気に立ち位置が変わる可能性を持った剛腕。

 福岡の速球派左腕・大畑 功士郎筑陽学園)も楽しみな素材。粗削りながら、140キロ後半の速球を投げ込む小江 光樹朝倉)も見逃せない。大分大会決勝まで導くピッチングを見せた中園 大樹柳ヶ浦)は下半身主導から回転数が高い140キロ前後の速球が持ち味。

 川原陸創成館)も長身から繰り出す130キロ後半の速球は重量感がある。ただ本格化とまではいかなかった。ただ育成がうまく進めば、一気に大化けする可能性を持っている。野元 由翼佐世保工)も夏に140キロ台の速球を投げ込み、一気に評価を高めた右腕だ。

 松江 優作れいめい)は、同じ鹿児島の実戦派の松本晴樟南)と比べると内回りの腕の振り、下半身主導の動きができた投手で、どちらというと、松江の方が速くなりそう。キレイな動きを求めるスカウトからすれば松江を好むスカウトがいるのではないだろうか。

 國仲 祐太宜野湾)は沖縄県内で注目されてきた速球派右腕だ。

 ここから何人がプロの世界を切り開くのか注目したい。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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