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県立大館鳳鳴高等学校(秋田)

2011.02.11

秋田県立大館鳳鳴高等学校

秋田県立大館鳳鳴高等学校 ~大館から甲子園へ~2011年02月11日

力投する斎藤

 1898年に秋田第二尋常中学校として創立され、流れた月日は113年。21世紀枠の東北地区候補に挙げられていた大舘鳳鳴がセンバツ出場を決めた。

 
東北地区から21世紀枠で出場を決めたのは6校目。2001年の安積(福島)、2004年の一関一(岩手)、2005年の一迫商(宮城)。2008年から3校に枠が増え、2009年に利府(宮城)、2010年の山形中央(山形)に続いて、秋田から初めて21世紀枠での出場が決定した。

 大館鳳鳴のある大館市は忠犬ハチ公の故郷として知られる。また、きりたんぽ発祥の地で、伝統工芸品・曲げわっぱも有名で、日本三大美味鶏の一つ、比内地鶏も名物だ。

 そんな街にある、秋田屈指の進学校。昨秋の県大会は19年ぶり2度目の優勝を飾った。それも、県北地区予選では2回戦で能代商に敗れ、敗者復活戦を勝ち上がっての栄冠だった。

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地区大会での敗者復活戦からの快進撃

 昨夏、3回戦で鷹巣に1対10で敗戦し、新チームがスタートしたが、「昨年のチームで試合に出ていたのは3人だった」と斎藤広樹監督。主将の小貫慧太(2年)、佐久間亮介(2年)、佐々木滉介(1年)だが、ポジションが変わっていないのはショートの小貫だけ。ファーストの佐久間はレフトで、サードの佐々木はファーストを守っていた。
 チームはまっさらな状態から始まり、斎藤監督は「全員に同じことをさせました」という。全員が同じくらいバント練習をし、ピッチャーも走塁練習に混ざった。「秋は試合経験を積みながらやるしかない」と腹をくくっていた指揮官だったが、地区予選でよもやの敗者復活戦へ。

 何とかつかんだ県大会の切符だっただけに「自分たち自身が、こんなに勝つと思っていなかった」と小貫。負けを経験したことで、1勝、1勝がチームの自信に変わっていった。(東北大会は初戦で青森山田(青森)に3対4で敗戦)

マウンドに集まる大館鳳鳴ナイン


 この冬は3・23を見据え、実戦練習を積んできた。その強い味方が学校から約4キロのところにある「[stadium]大館樹海ドーム[/stadium]」だ。いつでも使えるわけではないため、上手く空いている時間を利用。学校には室内練習場も完備されている。

 シーズン中は同窓生の寄付金で作られた、学校から自転車で10分ほどのところにある専用球場を使用している。環境は悪くはない。ただ、練習時間は約3時間、19時くらいまで。進学校だから、というよりは、電車通学する部員の終電が20時台と早いから。どうしても練習を早く切り上げなければいけないのだ。

 大館鳳鳴は全部員が大館市の除雪ボランティア団体「ハチ公スノーレンジャー」に登録し、年に数回、出動している。雪かきもトレーニングを位置づけており、スノーレンジャーの活動以外でも、学校周辺の除雪や学校の隣にある大館八幡幼稚園の雪かきも行っている。「冬場に体力のある高校生に何ができるか。日頃、地域の方に応援してもらっている恩がある」と斎藤監督はいう。

 地域の悲願でもあった「大館から甲子園へ」が実現したセンバツ発表の日、大館には10発の花火が打ちあがった。大館市民、そして、秋田県民の期待を背負い、大館鳳鳴ナインが聖地を踏む。エンジ色で胸に大きく「鳳鳴」と刻まれたユニホームをまとって――。

(文=高橋 昌江)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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