日比谷、8回の本盗で逆転も及ばず延長で江戸川が大勝

 かつての東京府立一中の歴史を有し、東京都を代表する都立の進学校と言える都立日比谷。そんな中で部活動として野球を頑張っている生徒たちである。今年は17人の選手で戦う夏となった。これに対して都立江戸川は、ある程度はグラウンドにも恵まれた環境ではあるが、ハンドボール部や女子ソフトボールなど部活動は盛んで、その刺激を受けながら文武両道を目指している。

 試合は、改めて野球の不思議さ、難しさを感じさせてくれるものとなった。

 5回までは都立日比谷の吉田君、都立江戸川の左腕三浦君、ともにテンポよく投げ合い、お互いに安打ずつ。果たしてどういう形で点が入っていくのかなと思わせる展開だった。

 それが6回、都立江戸川が死球を切っ掛けに若林君、新見君、福島君とクリーンアップの3連打で2点を奪いもさらに一死一三塁で7番小川君も中前へ落として3点。ここまでの試合の流れからしても、大きな3点かなと思われた。ところがその裏、都立日比谷は1番からの好打順で三谷君、野口君、溝西君がそれぞれ中、右、左へと3連打。足立君の遊ゴロの間に三走が帰って1点を返す。さらに近藤君の一打はあたり底値で投手の横にどん詰まりで転がって内野安打となり2点目。続く尾島君も三遊間を破ってたちまち同点となる。あれだけ点が入らなかった試合が、いきなり3点ずつ取り合った。

 7回は都立江戸川が先頭の1番渡辺君が一塁線を破って二塁打し四球もあって満塁とするが点が入らず。そして8回、都立日比谷は二死満塁から三走溝西君が一瞬のスキを突いてまさかのホームスチール。三浦君が左ということもあって、走りやすくはあったであろうが、8回裏でもあり劇的な決勝点になるかと思われた。

 ところが、都立江戸川もそれに怯まず、9回先頭の岡田君が出ると二死三塁となって、福島君が右前打で帰して同点。その裏から、都立江戸川は三浦君に代わってもう一人のエースともいえる船津君が登板。船津君は危なげなく3人で退け試合は延長へ。

 仕切り直しとなった10回、都立江戸川は一死から8番に入っていた船津君が二塁打すると、郡司君も三塁内野安打で続いて一三塁。1番の渡辺君が左中間深々と破って三塁打。岡田君も中前打してこの回3点。さらに、新見君も右中間二塁打するなど、打線が一気に爆発して打者13人の猛攻となり、一挙に8点が入った。

 さすがに、都立日比谷は意気消沈か、その裏も船津君に3人で抑えられてしまった。

 スコアだけ見たら、大差ということになるのだが、5回までの展開と、6回の攻防。さらに7回以降のスリリングな展開。そして、10回の都立江戸川の猛攻と盛りだくさんだった。

 今年3月に急遽就任した鈴木侑希監督は、「厳しい試合になるとは思っていましたが、こんな展開になるとは…」と苦笑していた。そして、1点リードされたところでの9回の攻撃に関しては、「絶対に返せるから、大丈夫だ」という声かけをして、延長の10回には、「普段通りの野球をやっていけば行ける」ということを選手に伝え、船津君も蓄えていた力を投打に発揮するかのような活躍だった。

 都立日比谷は吉田君が踏ん張っていたし、チームとしても一つひとつのプレーを丁寧にやって、限られた条件の中で、本盗含めて見事な戦いぶりだった。ただ、延長になって、最後に力尽きてしまったという感じだった。

(文=手束 仁

■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
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