試合レポート

近江vs高松商

2022.08.19

山田vs浅野の力比べは浅野に軍配も…近江がエラーを突いて4強へ

近江vs高松商 | 高校野球ドットコム
山田陽翔、浅野翔吾

近江vs高松商 | 高校野球ドットコムトーナメント表
夏の甲子園の勝ち上がり

近江vs高松商 | 高校野球ドットコム関連記事
ダントツの優勝候補の大阪桐蔭は何が凄いのか?大阪桐蔭に対抗できる優勝候補8校もピックアップ
第104回大会 全国47都道府県地方大会の日程一覧
甲子園注目選手

近江vs高松商 | 高校野球ドットコム大会の詳細・応援メッセージ
第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:近江7-6高松商>◇18日◇準々決勝◇甲子園

 この試合は大会No.1投手、近江(滋賀)・山田陽翔投手(3年)VS大会No.1スラッガー、高松商(香川)・浅野翔吾外野手(3年)の力比べに焦点が当てられ、試合が始まると予想通り2人の対戦の結果が試合の流れを揺り動かした。

 山田のピッチングは非常に個性的だ。多くの投手は、できるだけ打者の近くで球をリリースしようとするが、山田は違う。できるだけ高い位置で球をリリースする、それが山田の他の投手と異なる個性なのだ。これは昔、大塚晶文氏(当時近鉄、現在は中日投手コーチ)や黒木知宏氏(当時ロッテ)が実践していた投げ方で、大塚氏は球を高い位置で「握り潰す」、黒木氏は「真下にたたきつける」と表現し、そのリリースによって「直球が低めにぐんと伸びる」とその効果を口にした。

 1回表は浅野に133キロのスライダーを左翼への二塁打にされたが、それ以降、再び浅野と対戦するまでに8人の打者と対戦して被安打0、与四球1に抑えた。浅野との2度目の対戦は3回表に訪れた。初球が146キロの直球、2球目が138キロのシュートで入り、カウント1-1から3球目に投じたのが146キロの直球。これを浅野は「何の躊躇もなく」と言ってもいいくらい迷いのないスイングで振り抜くと、打球はセンターバックスクリーンに飛び込む一時同点とする2ランとなった。

 3回目の対決は2死一塁の5回にやってきた。山田は浅野に6球投げ、そのうちの5球はシュートという極端な配球で、それを浅野は苦もなく左前に運んだ。これほど完璧に打たれると「力対力」へのこだわりはなくなるのではないか。7回の1死一、二塁の場面では浅野に申告敬遠が宣告され、ここから興味は「個人VS個人」から「チームVSチーム」へと移行していく。

 山田のピッチングは「ヘロヘロ」だった。初回からここまでリリースで球を抑え込んできた(握り潰してきた)ので、リストが効かなくなっているのがわかった。浅野を申告敬遠したあと、2番井櫻悠人外野手(3年)、3番渡邊升翔内野手(3年)に連続適時打を打たれ、結局8回途中で降板した。

 マウンドに上がった近江の2番手、左腕の星野世那投手(3年)はひょうひょうと投げた。いきなり浅野と対戦してスライダーで左飛に打ち取り、2番を安打で出したあとは、3番を二塁ゴロに打ち取った。〝力対力″とか〝超高校級″という縛りがないので、山田にくらべ楽に投げる姿が印象的だった。

 高松商が6対5とリードして迎えた7回裏、高松商の2番手、左腕の渡辺和大投手(3年)は1死二塁の場面を迎え、1番津田 基内野手(3年)に中前へ運ばれ、二塁走者が生還して同点。バックホームの球がそれる間に打者走者は3塁に。バックホームの球がそれる間に打者走者は三塁に。さらに2死後、3番中瀬樹内野手(3年)が139キロの直球を左前に弾き返し、勝ち越す。試合はここで決着するのだが、続く4、5番の打球をエラーするなど、高松商のエラーの総数は4個になった。打たせて取る技巧派揃いの陣容なので、高松商がもう1つ上に勝ち進むためには内・外野の守りの強化が必要になるだろう。

(記事=小関 順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.24

2連覇ならず…浦和学院、頼みの投手陣が崩れ、春日部共栄に逆転負け

2024.07.25

【ポニー】春夏連覇を阻止して初優勝!筑後リバーズが夏の日本一に輝く

2024.07.24

帝京単打攻勢で淑徳を圧倒!伏線になったのは「春の本塁打量産」【24年夏・東東京大会】

2024.07.24

関東一 春のリベンジを果たし準決勝進出!修徳の荒井監督はこの夏で監督を退任【24年夏・東東京大会】

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」