明暗分けた初回の攻防、勢いつけた加藤学園が富士宮東に5回コールド勝ち
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<第104回全国高校野球選手権静岡大会:加藤学園10-0富士宮東>◇21日◇3回戦◇愛鷹広域公園
加藤学園は新型コロナの影響をモロに受けた学校の一つと言ってもいいであろう。というのも、中止になってしまった第92回センバツに悲願の初出場を決めていた。結局、その春は甲子園での試合をすることはならなかった。それでも、その代替えとなった夏の甲子園での交流戦で甲子園勝利も経験した。その試合に1年生ながら出場していた太田 圭哉が主将となって、最後の夏に挑んでいる。1年下の弟の侑希もメンバーとして入っている。この日も2番、3番と兄弟で打順が並んだ。
富士宮東は、プロ球界も注目している187センチの大型遊撃手・勝又 琉偉主将がチームをけん引している。それだけに、この夏ひと暴れするのではないかという評価も高い。
そんな躍進中の両チームだけに、好試合が期待された。
ところが、初回の攻防が明暗を分けて、試合は思わぬワンサイドとなってしまった。
初回、富士宮東の先頭大谷の打球は強烈に三塁線を襲い、抜けたら二塁打という打球だったが、これを加藤学園の曽根三塁手が好捕して一塁で刺す。これで、先発佐野はホッとしたのか、続く2者を三振に切って取る。結果としては三者凡退だったが、先頭打者が出ていたらいきなり加藤学園はピンチを迎えるというところだった。
その裏の加藤学園、1死後太田 圭哉が四球で出ると弟が左前打で続き、水田が四球で満塁。5番小林千哩が中前打して2者がかえる。さらに失策で1点が入り、なおも一、三塁というところで、7番に入っている佐野が右越え三塁打して、さらに2人がかえる。佐野も、次の水口の遊撃内野安打でかえって、この回いきなり6点が入ってしまった。
これで、試合の主導権はすっかり加藤学園となる。
3回には、佐野が右越えへソロホーマーして追加点。米山学監督も、「まさか、あそこで佐野に本塁打が出るとはね、私もびっくりしました」と笑う。加藤学園は4回にも太田 圭哉や井土の二塁打などでさらに3点を追加して10点差とした。
反撃したい富士宮東は5回、7番の小林と続く亀山が連打。無死一、二塁とする。ここで、加藤学園は佐野から右サイドの船橋にスイッチする。米山監督は、「船橋は経験があるので、ああいう場面でも安心して任せられる。本当は、5回の頭から行こうかと思っていて、そのことを伝えていたので、すぐに気持ちは入って行かれたのでしょう」と言うように、船橋はそこから3人をピシャリと抑えた。
加藤学園は今大会に入って無失点。しかも、いずれも2ケタ得点で快進撃が続いている。米山監督は、「一戦一戦、チャレンジャーのつもりでやって行こうということは言っています。ベンチに入れなかった3年生も多くいましたが、そんな選手たちの思いも背負って戦ってくれました。佐野は、3年間苦労もしてきましたが、そんな思いも込めて、いい投球をしました」と評価した。「自分ができることを一つひとつ、しっかりとやって行こう」というのがチームのモットーでもある。それがしっかりと踏襲できているということであろう。
思わぬ大差になってしまった富士宮東。大勝良則監督は、「立ち上がりの6点があまりにも大きくて、これで試合展開の流れをつかめないままでした」と残念がった。
注目の勝又に関しては、「本人はプロを志望しています。今大会調子悪いわけではないとは思うんですが、結果的には夏の大会で安打を記録することができなかったです。それでも、3年生8人、100%の力は出し切れなかったかもしれないけれども、いい経験、今後の人生の上でもいい勉強になったのではないか」と、3年生たちが頑張ってきたことは称えていた。
(取材=手束 仁)