夏5年ぶりのライバル対決は浦和学院が制す!! 勝敗を分けた7回裏の攻防

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<第104回全国高校野球選手権埼玉大会:浦和学院10-5花咲徳栄>◇24日◇準決勝◇県営大宮

 伝説の試合とはこういうゲームのことを言うのであろう。壮絶なゲームとなった。また、埼玉の高校野球史に新たな1ページが加わった。

 準決勝で両雄相まみえる。夏5年ぶりに開催される浦和学院花咲徳栄のゲームは、もはや埼玉県民の一大イベントである。なお、5年前決勝で対戦した時は花咲徳栄が勝利しその後全国制覇を果たしている。今回はどうか。

 先発は、浦和学院が左腕・宮城 誇南(3年)、一方の花咲徳栄が連投となる金子 翔柾(3年)と両エースが先発し試合が始まる。

 試合前半はやや花咲徳栄ペースで試合が進む。

 先制したのは浦和学院であった。

 3回裏、この回先頭の宮城が四球を選び出塁すると、続く大内 碧真(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。さらに1番・小林 聖周(2年)も四球を選び1死一、二塁とすると、2死後、金田 優太(3年)が中前適時打を放ち1点を先制する。

 一方の花咲徳栄は4回表2死後、7番・上田 光浩(3年)が左翼線へ二塁打を放ち出塁すると、さらに暴投で三塁へと進む。ここで、金子が中前適時打を放ち同点、さらに続く新井大貴(2年)が右前安打を放ちチャンスを広げると、1番・齊藤 海(2年)が右越え2点適時三塁打を放ち、3対1と一気に逆転する。

 花咲徳栄は5回表にも、1死から4番・柴田樹(2年)が左前安打を放ち出塁すると、2死後増田 空[/player](2年)が左翼 線へヒットを放ち2死一、二塁とし、浦和学院・エース宮城を早くもマウンドから引き摺り下ろす。

 対する浦和学院も5回裏、2死から1番・小林が四球を選び出塁すると、続く伊丹一博(3年)も四球を選び、2死一、二塁とする。ここで金田優太(3年)が右前適時打を放ち1点差とする。

 試合後半は点の取り合いとなる。

 花咲徳栄は、6回表、2死から前田 空(3年)が左翼席へソロ本塁打を放ち再度4対2の2点差とする。

 浦和学院はその裏、2死から7番・大勝 朱恩(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く三宅流架(3年)も死球で出塁し2死一、二塁とする。ここで9番・大内が左中間へ2点適時三塁打を放ち4対4の同点とする。

 

 花咲徳栄は7回表にも、2死から前田が左翼席へソロ本塁打を放ち1点を勝ち越して7回裏を迎える。

 だが浦和学院はその裏、やや疲れの見え始めた花咲徳栄・金子に対し、この回先頭の伊丹が四球を選び出塁すると、続く金田の一塁へのゴロが相手の悪送球となり無死一、三塁とする。1死後5番・高山 維月(3年)は投ゴロに倒れる。三走は挟殺プレーで刺されそうになるが、相手捕手が深追いした結果、野選となり、1死満塁とチャンスが広がる。ここで6番・八谷 晟歩(3年)のところで浦和学院ベンチは1ボール2ストライクからスクイズを敢行するが外されてしまう。それでも次の球を

「(2ボールから)甘い球を見逃して、その後スクイズを外されて何とか決めてやろうと」(八谷)
と、その八谷が花咲徳栄・金子のやや甘く入ったスライダーを捉えると打球は左翼席に飛び込んだ。汚名返上とばかりに逆転3ランを放ち7対5と試合をひっくり返す。

「みんながよくやったと言ってくれたので自然と涙が出た」(八谷)
と、試合中涙ぐんだ主将は、早速、8回表1死二塁から本来の持ち味である好守備を披露しチームを救った。

 これで一気に流れをつかんだ浦和学院は8回裏にも、この回先頭の三宅が四球で出塁する。ここで花咲徳栄・金子がやや足を気にする仕草を見せる。連投でありもう限界であった。続く大内がきっちりと送り1死二塁とする。ここで1番・小林の一塁へのゴロがイレギュラーバウンドとなり右前適時打となってまず1点、さらに続く伊丹が左翼線へ安打を放つと送球間に二塁へ到達し1死二、三塁とする。ここで3番・金田が中前に2点適時打を放ち10対5とし花咲徳栄へ引導を渡す。

 結局、浦和学院が10対5で花咲徳栄とのライバル対決を制し決勝へ駒を進めた。

 まずは花咲徳栄だが、
「宮城対策に関しては何回もビデオを見て一年がかりで真っ直ぐのキレ、コントロールそれを叩かないと、と臨んだ。スイングスピード、ヘッドの返しを常にやってました。途中までシナリオ通りに事が運んだのですが最後に綻びが出てしまった。ただそれはこの雰囲気の中で責められない。金子は入りを含めこれまでで一番。今大会尻上がりに良くなってきてさすがエース」(岩井監督)
と、一年がかりで宮城対策に取り組み、浦和学院の二枚看板宮城、金田から3発を含め、相手を上回る14安打を放った。エース金子も連投ながら中盤までは2種類のスライダーを武器に素晴らしい投球を披露していた。後半力尽きたが11奪三振の彼は責められない。悔やむとするならば、この代のウィークポイントであった守備が大事な場面で乱れ、7回、8回と失点に絡んだ。特に7回裏がこの試合の分かれ目となった。無死一、三塁からスクイズを外すなど2死二、三塁まで持ち込んだだけに、7回裏を無失点で切り抜けていれば”シナリオ通り”にその後の展開を優位に運べていた可能性は高い。だが最後、1球に泣いた。スタメンの半数が2年生なだけにこの悔しさは秋以降にぶつけてもらいたい。

 一方の浦和学院
「宮城はストレートは走っていたのですが、変化球の見せ球が甘くなってしまって悔しい降板となってしまったので監督としても何とかという思いがあった。中盤までは左打者のインコースに投げるカットボールに苦しめられて、中盤からは追い込まれる前の真っ直ぐを狙って追い込まれたらスライダーだと。選手は最後まで諦めず戦ってくれた。八谷はスクイズを失敗し、やったなとは思いましたが、あの後、最後まで諦めず主将として1年間悔しい思いをしながら頑張った成果が乗り移ったかなと」(森監督)

 エース宮城はこの日直球の走り自体は悪くなかったが、総じてやや高く相手が対策を立ててきたこともあり、苦しい投球となった。後を受けた金田も2発は浴びたが、共にソロ本塁打であり大怪我はせず投げ切った。花咲徳栄・金子のウイニングショットを含め軽々とタイムリー3本を放った金田はもちろん素晴らしかったが、この日のヒーローは何と言っても起死回生の逆転3ランを放った八谷であろう。7回裏の攻防が明暗を分ける形となった。それにしても8安打で10得点と浦和学院の勝負強さは相変わらずだ。浦和学院が大きな山を越え甲子園へあと一勝に迫った。

(取材=南 英博