山口 裕次郎選手 (履正社)
短評
観戦レポートより抜粋(2016年06月04日) 本領発揮しつつあるといっていいだろう。履正社の大型左腕・山口裕次郎(3年)。寺島成輝とともに、注目されている大型左腕だが、故障もあり本来の実力を発揮できずにいたが、大阪大会準々決勝、決勝で好投を見せたように、少しずつ内容が良くなっていた。そして近畿大会。これが剛腕左腕・山口の実力か...とこれまでの印象ががらりと変わる内容を見せたのだ。前回の登板(東海大仰星戦)ではドラフト候補として片鱗を見せた時、大きく取り上げると書いていたので、しっかりと彼の魅力をお伝えしていきたい。 1回表、「立ち上がりは押し出すような投げ方になって切れのあるストレートを投げられなかった」と振り返るように130キロ中盤のストレートが高めに浮き、智辯和歌山の4番・高垣鋭次に適時打を浴び、先制を許す。智辯和歌山は練習中からかなり速い速度で打撃練習を積んでいるように速球には強い。甘く入ったストレートは打たれると気を引き締めた山口は押し出して投げないようにテークバックを大きすぎないように小さい動きでトップに持っていき、内回りの軌道でリリースに入ることを意識し、調子を取り戻していく。山口は尻上がりに調子を上げていく。130キロ中盤だったストレートはみるみる調子を上げていき、5回表には、135キロ~140キロから最速143キロを計測するなど、力で押していく投球ができるようになる。 そして7回表、9対2と大きくリードした場面で、山口は全力投球。全力と言ってもリリースまで無駄な力が入らず、テークバックでしっかりとトップが決まり、内回りの軌道で、リリース時に一気に力を入れる理想的な体の使い方、腕の振りで投げ込む山口のストレートはコンスタントに140キロ~143キロを計測。いくら速い球で打撃練習をしているという智辯和歌山打線も、球持ちが良い山口のストレートにはついていくことができない。最後の打者に決まったインコースには最速145キロを計測。最後は143キロのストレートで空振り三振に打ち取り、ゲームセット。7回8奪三振2失点完投勝利で決勝進出を決めた。 ストレートの出来について山口は「だんだん手応えが出てきた」と語るように大阪大会のストレートとはまるで別人。やはり東海大仰星戦の投球はどん底の内容だったようで、そこから調子を上げることができたのだ。 コンスタントに143キロを出した高校生左腕は大江竜聖(二松学舎大附)だけ。ここぞというときのストレートは大江を凌ぐのではないかと思わせるストレートも投げ込んでいる。7回では今年測った高校生左腕の中では最速となる145キロを計測したのだ。さらに山口は180センチ87キロとサイズがあるのが魅力で、もっと伸びていく予感を感じさせる。左スリークォーター気味の腕の振りなので、対角線に切れ込む独特の角度もあるので、左打者からすれば嫌な投手。今回は右打者へ懐へズバリと決まるクロスファイヤーが決まっていた。さらに120キロ~125キロ前後のスライダー、130キロ台のツーシーム、100キロ台のカーブと球種も多彩で、これが2番手に控えている。さらに最速140キロを投げ込む右腕・竹田祐も控えるのだから、履正社の投手陣の層の厚さは全国トップクラスといってもいいのではないだろうか。山口にとって自信に残る1勝になったのは間違いないだろう。
更新日時:2016.06.04
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