寺島 成輝選手 (履正社)
短評
観戦レポートより抜粋(2016年6月5日) 6回裏からエースの寺島が2番手として登板する。 「相手は選抜王者ですから挑戦者のつもりで思い切り投げていきました」と振り返るように、1球1球が全力投球。投げるたびに自然と声が出るのは調子が良い証拠のようだ。 ノーワインドアップからゆったりと右足を上げていきながら、左足は真っ直ぐバランス良く立ち、一塁方向へ足を伸ばしていきながら、お尻から先行して重心移動するヒップファーストで右足を踏み込んでいき、右腕のグラブを斜めに伸ばして半身の状態になって、内回りの旋回で、トップを形成し、オーバースローで振りにいく。腰の動きと腕の振りが上手く連動し、体の軸で鋭く回転ができる完成度の高いフォーム。ストレートはコンスタントに140キロ~143キロを計測し、最速145キロを3球ほど計測。140キロと下回ることはほとんどなく、当たり前のように140キロ台を計測する馬力はやはり本物。寺島はアベレージ140キロ前半にしたいと語っていたが、見事にそれを実現させた。 さらに球持ちが良いので、球速表示以上に勢いを感じさせるので、前に打球が飛ばない。打ったとしても力のない打球が殆ど。選抜王者の[team]智辯学園[/team]打線が明らかに寺島のストレートに押されていたのであった。 またストレートの割合が多かったのは冬から取り組んでいたストレートを磨いてきた成果が出ているのか、試したいという思いがあった。特に右打者の内角を意識したストレートは素晴らしいので、外角ストレートも生きる。登板した6回裏には、8番智辯学園 中村晃に対し、外角に145キロのストレート、9番高塚には内角へ143キロのストレートが決まって二者連続三振を奪った投球は、これが全国トップクラスの左腕の実力かと思わせる内容であった。 変化球の割合が少ないので、これで寺島のすべてが分かったわけではないが、春先からスポーツ紙でドラフト1位候補に挙げられるのも頷ける。 そして9回裏に智辯学園打線を三者凡退に抑え、優勝を決め、ぐっとガッツポーズを見せた寺島。見事に優勝を決めた。 近畿大会で見せたパフォーマンスはドラフト1位候補に相応しいものであった。だが、変化球の精度に課題を残し、それは本人も課題にしているところで、そこは最後の夏へ向けてチェックしていきたいところ。スカウトは夏のピッチング次第で、高卒1年目から一軍で投げられる投手になるのかを見極めることになるのではないだろうか。
更新日時:2016.06.23
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