小笠原 慎之介選手 (東海大相模)
短評
観戦レポートより抜粋(2015年5月19日) ドラフト上位候補と注目される小笠原 慎之介(東海大相模)が登場。能力的なモノでいえば、小笠原はドラフト上位候補である。それはなぜか。 ・本気になれば左腕から常時140キロ中盤投げ込むポテンシャルがある ・ある程度まとめられる投球術がある ・182センチ83キロとプロレベルの体格がある 3つの長所に加え、まだ今年で18歳を迎える伸びしろのある高校生なのだから、評価が高まるのは当然だ。小笠原のチェックポイントとしては、全国トップクラスの対応力を誇る浦和学院に対してどんな投球を見せるか。結論を述べると、試合を振り返れば、夏へ向けてだけはなく、プロで活躍するために「いろいろと課題が明確となった試合である。 小笠原はグラウンドボールピッチャーという表現がぴったりくるだろう。ゴロを打たせる投手のことを指すが、非常にゴロが多い。MLBではこのタイプは球数を節約できるので、高く評価される。小笠原は高校生離れした140キロ台のストレートを投げ込むが、空振りが奪えるストレートではない。ただその代り、球威があり、ボールが高めに浮くことは少ないので、ゴロが多い。 初回は3番津田 翔希(3年)に四球を出したが、4番山﨑 滉太(3年)を打ち取り、無失点。初回の最速は140キロとやや控え気味だった。2回以降からみるみると球速を高めていき、常時140キロ中盤・最速149キロを計測。全力で投げれば、140キロ中盤を当たり前のように計測する馬力は素晴らしいが、なかなか空振りが奪えない。 それは本人にとっては、歯がゆい限りだろう。だが課題はもう1つあり、小笠原は突出した変化球がない。スライダー、カーブ、チェンジアップを投げているが見せ球ぐらいの役割で空振りが奪えるほどのものではないのだ。2枚看板を組む吉田 凌は変化球のキレ味は優れており、奪三振が多いのは、変化球で空振りが奪えるというのがある。 夏へ向けて小笠原の課題は、空振りが奪えるストレートへの追求よりも、決め球となる変化球の修得、また打者からストレート、変化球の判別が困難になるようにフォームの面でも微調整が必要だ。小笠原はインステップからそのまま勢いよく踏み込んで、上体を鋭く腕を振るフォームなので、投球フォームに打ち難さを与えるような粘りがあるかというと、今はない。 良い投手は変化球の切れが鋭いだけではなく、さらに腕の振りが変わらないので、判別が難しい。小笠原がさらにステップアップするためには、変化球の精度を高めると同時に打ち難い投球フォームの追求になるだろう。 高度なことに取り組むことになるが、これも小笠原が高いスキルを備えているからこそ。ぜひ夏にはワンランクレベルアップして、高校生にとって攻略困難な左腕へ成長を遂げてほしい。
更新日時:2015.05.21
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