飯塚 孝史選手 (履正社)

寸評

　選抜では１回戦こそ登板しませんでしたが、２回戦の九州学院戦に先発。９回を５安打無失点に抑えるなど、好投手ぶりを披露。そんな今年の大阪を代表する好投手　飯塚 孝史について考えて行きたい。 （投球内容） 　大阪の名門校の３年生にしては、やや線が細い。恐らく故障などで、なかなか思い通りの練習に取り組めて来なかったのかもしれない。しかしながら、さすが全国一の激戦区の主戦投手。実に投球が、洗練されている。それほど球威・球速はないのだが、外角の微妙なところでボールを出し入れできる、確かなコントロールと投球術を兼ね備えているのだ。 　スリークオーターから投げ込まれる球速は、コンスタントに１３５キロ前後～ＭＡＸ１３７キロぐらい。キレの好い速球に加え、スライダー・チェンジアップなどもコースに投げ別けて来る。右打者にも左打者にも同じように、両サイドにしっかりコントロール。制球に隙はなく、巧みなマウンド捌きで相手を翻弄する。 （投球フォーム） 　両足を広く広げて構え、ノーワインドアップから投げ込んできます。特にフォームに力みが感じられないのが、安定した制球力につながっている感じが致します。ただ腕の振りは、かなり下がっているので、基本的にスライダー・チェンジアップ中心の投球パターン。将来的に見分けの難しいカーブや縦の変化を武器にしようと考えるならば、もう少し腕の角度をつけないと苦しいでしょう。そういった意味では、球種を増やしたりして、いかに投球の幅が広げられるのかが課題としてあげられます。 　グラブは最後までしっかり内に抱えられているので、両サイドの制球力は安定しております。ただ足の甲の押しつけは浮き気味なので、ボールを力一杯投げると、真ん中～高めに浮いてしまいがちです。もう少し重心が沈み足の甲で地面を押しつけられるようだと、ボールが低めに集まる粘っこい投球も期待できそうです。 　スリークオーター故に、少し体の開きが早い傾向にあります。腕を無理に引き上げていないので、肩への負担は少なそう。スリークオーターでもいいのですが、テイクバックした時に、両肩のラインよりも肘が下がらないことに気をつけたいところ。球持ちに関しても、平均的。腕は振れておりますので、もう少し体重移動が上手くできるようになると、もっと手元まで勢いのある球が行きそうです。

将来の可能性

　今後は、いかに投球の幅を広げて行くのかが課題になります。腕の振りからも、無理にカーブやフォーク系の球を覚えようとするよりは、スライダーを工夫したり、ストレート系の球を微妙に動かすことで、相手の芯を外すタイプの投球を目指すことになるのではないのでしょうか。 　投球の完成度は高いのですが、肉体にはまだまだ上積みが期待できそうな余地が残っております。そういった意味では、球速・球威の問題は時間が解決してくれるのではないかと期待します。まずは、故障しない体作り。上のレベルでも通用する筋力を身につけ、その上で技術を磨いていって欲しいと思います。ピッチングができる投手だけに、肉付けが上手くできれば、素直に結果になって現れそうです。今後は、大学や社会人で地道な成長を、見守って行きたいかと思います。