飯塚 孝史選手 (履正社)

寸評

背番号10番ながら甲子園で先発したサイドハンド。春季近畿大会では９連続奪三振を奪う快投を見せて注目された投手だ。初の甲子園では彼らしい冷静なピッチングで天理、聖光学院相手に好投を見せた。甲子園の経験は大きかった。新チーム発足後はエースとして大阪大会、近畿大会をほぼ一人で投げぬき、近畿大会準優勝。まさに大黒柱に相応しい投手だ。今年の選抜はエースとしての快投が期待される。 （投球スタイル） 右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ～136キロ。直球の威力はまずまずだが、コントロールは抜群で、両サイドぎりぎりに投げ分けることができている。変化球は120キロ前後のスライダー、115キロ前後のチェンジアップ。130キロ前後のツーシーム。特に有効的なのがツーシーム。このボールはストレートと球速がそれほど変わらないのに、打者の手元で沈むので、思ったほど空振りが奪える球種なのだ。 （クイックタイム） クイックタイムは１．１秒と素早いクイックができている。フィールディングはまずまず守れるか。 （打者の攻め） ・右打者 外角中心にストレート、スライダーを投げ分けて行く配球。カーブを織り交ぜながらストレートを活かして行く配球だ。 ・左打者 外角中心にストレート、ツーシームを投げ分けて行く配球。このツーシームはシンカーと判別してもおかしくないが、左打者にとって逃げるボールなため、打者にとっては打ちづらく、効果的。このボールを決め球にピッチングを組み立てていく。 コントロールが良いので、自分の持ち球を存分に活かした投球が出来ている。サイドスローでありながら左打者の攻めが長けており、これもポイントが高い。そしてこの投手は度胸がある。要所で左打者のインコースへずばっと攻めることができており、尚且つ１３０キロ中盤のストレートを投げることができているのだ。 （投球フォーム） ノーワインドアップから入り、左足をゆっくりと上げていき、バランスよく立つ。それからは左足を三塁側方向へ伸ばしていき、インステップしていく。コンパクトにテークバックをとっていき、リリースしていく。離す位置がかなり遠ざかっており、フィニッシュに入った後は三塁側方向に倒れてしまっている。ただ球離れが遅いというより粘っこいので、ボールに微妙な回転を掛けるのが上手いし、コントロールできる投手だ。ただ体重移動を見直して行く必要があり、体勢が崩れないようになるともっと良いだろう。

将来の可能性

上手さと度胸の強さを持ったサイドハンド。これからも実戦力を売りにして活躍して行けるタイプ。選抜は昨夏よりも成長を見せることができているか注目してみたい。高卒プロタイプではないが、速球の切れ・スピードが増していけば、大学で活躍していける投手だろう。