水原 浩登選手 (関西)

寸評

左腕の堅田 裕太と共に、関西の２枚看板として注目されている投手です。普段は、背番号6を付けて遊撃のポジションを守るなど、高い野球センスを兼ね備えた選手。今回は、そんな水原選手の投手としてのレポートをお送りいたします。 （投球内容） 　バランスの取れた体格、オーソドックスなフォームからも、投手としての筋の良さを感じさせます。ストレートは、コンスタントに130キロ台後半～ＭＡＸ142キロを記録。手元まで、しっかり伸びて来る質の良い球です。変化球は、カーブ・スライダー・チェンジアップなど一通りの球種を持ち合わせますが、まだその球を上手く生かし切れていない気が致します。 　さすがに普段は遊撃を守ると言うことも、フィールディングの動きはまずまずで、牽制なども鋭くできます。クィックなども、1.1～1.2秒ぐらいで投げ込むことができており、プロの基準である1.2秒を満たすだけの能力があります。 　ただコントロールは、かなりアバウトな印象を受けます。球が高めに抜けたり、真ん中近辺に甘く入ったりと、細かいコースの投げ別けや投球術には、まだまだ課題が残ります。新チーム結成以来の84イニングで、四死球は30個。広い高校野球のストライクゾーンを考えると、イニングの1/3以上の四死球を記録するコントロールには、まだまだ不安を感じさせるものがあります。良い時は良いのですが、逆境を迎えた時に、その脆さが出そうです。 （投球フォーム） 　お尻を一塁側に落とせるフォームなので、見分け難しいカーブや縦に落差のあるフォークを修得して、ピッチングの幅を広げられる土台があります。ただ着地までの「間」が作れていないので、充分からだを捻り出す時間が確保できておりません。 　グラブを内に最後まで抱えられているので、もう少し両サイドの制球も安定しそうなものです。また足の甲の押しつけも悪くないので、もっと低めに球が集まってもと思いますが、最後にがに股になってしまい、その効果は薄そう。腕の引き上げにも無理がなく、肩への負担は小さそう。ただテイクバックから腕の振りが堅いので、その点で肘などへの負担は少し気になります。 　投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でみると、「球持ち」以外はすべて課題を残します。球は速くなっても、今のままでは効果は薄いものになってしまうでしょう。あとフォームの「間」とか動作のメリハリなどを意識して、もっと投球にアクセントをつけられると良いと思います。

将来の可能性

　現状、まだストライクゾーンの枠の中に投げ込んでいるだけといった投球で、配球の意図や動作の意味も深く探求されていない気が致します。ただ教えられたことだけを行うのではなく、自分で深くプレー一つ一つを掘り下げる努力に努めて欲しいと思います。　 　また打者としても、中々鋭い打球を飛ばすし、ポテンシャルは低くないものの、対応力や技術的な部分では物足りないものを感じます。現時点では、投手か野手かと言う区別はせずに、深い探求心を持って、すべてのプレーに打ち込んで欲しいと思います。若いのですから、どんどん吸収できるはずです。ただ高校からプロに行くとなると、その努力は半端ではありません。その意志がある選手なのかどうか、選抜でぜひ見極めたいと思います。