新入生は何人来るのか。部員数9人の有田中央(和歌山)が抱える大会への不安
活動の自粛を余儀なくされているチームがほとんどである高校野球界。現在も再開の目途が立たない状況だ。そして和歌山の有田中央には苦悩の日々だ。
3月は春休み中の自主練習という形で2時間程度の練習ができたが、4月に出た緊急事態宣言を受けて活動を自粛。既に3週間近く練習ができていない状況だが、「やれるものならやりたいですが、難しいですね」と話すのは岩尾元先生。小久保裕紀氏をOBに持つ星林から2019年4月に異動してきて、選手たちの指導にあたっている。
その有田中央は2、3年生は部員合わせて9人。部員数ギリギリで新チームからここまで進んできた。少ない人数でも勝てるために、岩尾先生が大事にしてきたのは考えて動くことだった。
「星林とは違う環境で、一体何ができるのか考えた1年でした。ただ、選手たちには考えて練習に取り組んでもらうようにきっかけを与えながら練習をやってきました。野球は状況に合わせて対応できないといけないですので、その辺りで成長したことは手ごたえとして感じています」
現在は選手たちの生活環境を考慮して、細かな練習メニューを伝えずに選手たちに任せてきた。どれだけ考えて練習に取り組めるか、選手たちの考える力が試される期間になった。しかし、岩尾先生の中には不安は当然ある。
「いつまで自宅待機が続くのか。あまりこの状況が長引いてしまいますと、夏の大会がありますので、チームとしてまとめる時間が足りないかもしれないです。また現在部員は9人ですので、新入生が入って来てくれないと、チームとしてなかなか動けないです」
まだ1年生がどれだけ入部してくるのか。人数も把握ができておらず、目途が立たない状況。人数が少ない分、ベンチワークなど試合を通じて実戦経験を積むだけではなく、サポートの動き方を覚えないといけない。ここに岩尾先生は一番の悩みを抱えている。
さらにユニフォームの採寸もまだできていないなど、完全に1年生は準備を進められていない状況。再会をしたら急いでユニフォームを準備しなければ、大会のベンチにも入れない。お店の在庫などを確認して最悪のケースを避けようとしているが、「不安はあります」と心配は尽きない。
果たして再開はいつになるのか。1日でも早く元に戻るのを祈るしかない。
記事:田中 裕毅
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