鈴木大地、井領雅貴の2人を擁しても突破できなかった神奈川の壁
楽天への入団が決まった鈴木大地
楽天が国内FA権を行使していた鈴木大地の獲得を発表した。内野をどこでも守れるユーティリティープレーヤーであり、入団2年目の2013年から7年連続で規定打席に到達。また、その7年間はすべて140試合以上に出場している強靭さも兼ね備えており、大きな補強になったことは間違いないだろう。
そんな鈴木は神奈川県の桐蔭学園高校出身。高橋由伸(元・巨人監督)や茂木栄五郎(現・楽天)と幾多の名選手を輩出している、言わずと知れた名門校だ。
しかし鈴木は同校時代に春夏を通じて全国大会への出場はなく、最後の夏は神奈川大会5回戦で慶應義塾高校に敗れてユニフォームを脱いでいる。チームメートには現在中日で活躍する井領雅貴がいた。将来のプロ野球選手2人を同学年に擁していた名門校でも、神奈川の壁を突破することができなかったのだ。
振り返ってみると1989年生まれ世代(1989年4月2日〜1990年4月1日生まれ)の高校時代は、大阪桐蔭高校の中田翔(現・日本ハム)、仙台育英高校の佐藤由規(現・楽天)、成田高校の唐川侑己(現・ロッテ)が全国的に注目を浴びていたことがよく知られている。
神奈川県内で見ると、東海大相模高校の田中広輔(現・広島)と菅野智之(現・巨人)、横浜高校の高濱卓也(元・ロッテ)、横浜商科大高校の松山傑(元・日本ハム)といった選手達が後にプロ入りを果たしている。
しかし、彼らの3年生時にあたる2007年の全国高校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)に出場したのは桐光学園高校だった。後にこの世代からNPBへと進んだ選手はひとりもいない。そんな桐光学園高校が決勝で東海大相模高校を破り、夏の甲子園へと出場を果たしたのである。
このように高校野球の世界では、後のNPBプレーヤーがひとりもいない学校が、日本を代表する選手となった菅野や田中を擁する強豪校に勝利することも起こりうるのである。
来年の夏も地方大会で敗れた学校の選手たちから、のちのNPBプレーヤーが誕生するはずだ。
記事=勝田 聡