試合レポート

城東vs川島

2015.07.18

第2シード・川島「1球」から学ぶこと

 結果は2年連続、城東の前に緒戦で涙を呑んだ第2シード・川島。が、彼らは善く戦った。

 一時はコールド負け寸前に追い込まれながらも俊足3番・遊撃手の大堀 雄平(3年・182センチ82キロ・右投左打・吉野川市立川島中出身)いわく「6月からポジティブなイメージを持ち、嫌なイメージをなくしていくメンタルトレーニングを始めた」効果を中盤以降徐々に発揮。2時間31分の試合中、主将・藤岡 京佑(二塁手・3年主将・右投左打・165センチ67キロ・美馬市岩倉中出身)を中心に「泥臭く、元気よく、ガムシャラに」チームの約束事を守り、最後は一打同点の場面まで城東を追い込んだ。

 ただ、策士・鎌田 啓幸監督が率いる城東もしたたかであった。6月の総体協賛西部ブロック大会で阿波の前に初戦敗退に終わるなど、バランス面に課題を抱えていた川島エース・宮本 誠士(3年・左投左打・178センチ78キロ・美馬市三島中出身)の立ち上がりに狙いを定めると、5回までに7得点。

 加えて巻き気味に吹く風をつかんだ守備ポジショニングも川島の反撃を押しとどめる要因となった、そしてもう1つの勝敗を分けたポイントは1対1で迎えた4回表にある。城東4番・後藤田 朋哉(3年・右翼手・右投左打・173センチ68キロ・吉野川市立川島中出身)に対し、川島・宮本の初球はハーフスピードのアウトロー高目へ。これを後藤田は逃さず右中間を深々と破る三塁打とし3得点へ。宮本、そして川島にとってはまさに「痛恨の1球」となった。

 大会前には「気持ちを内に秘めて淡々と投げたい」と語っていた川島・宮本だが、ここではあえて感情を出してもよかったのではないか。9安打を喫した5回までとうって変わり、開き直って腕を振った6回以降はわずか1安打無失点に封じただけに、なおさらそう思えてならない。「自分たちでミーティングしたり、メモを取ったり、ひたむき、誠実さが3年生にはあった。そこが花開いてほしい」(川島・北谷 雄一監督)。

 いわゆる「最後の夏」にそれらが花開かなくても、人生の中で花開く機会はまだ残されている。川島にはリベンジを果たせなかった悔しさを胸に。城東には成功体験に満足することなく、川島の分まで夏を戦い抜いてほしい。

(文=寺下 友徳


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!徳島県の野球部訪問を一挙紹介!
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.14

慶應&大阪桐蔭が四国の5チームに伝えた「全国で勝つための方法」とは!? 香川・徳島招待試合がもたらした財産

2024.06.14

【群馬】甲子園春夏連覇に挑む健大高崎は勢多農林と藤岡北の勝者と対戦、同ブロックに桐生第一【2024夏の甲子園】

2024.06.14

【北海道】名寄支部では、稚内大谷が名寄と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.10

【福島】いわき光洋、平工が勝利<春季支部選手権大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得