試合レポート

太成学院大高vs枚方津田

2012.07.14

新ユニフォームで躍動!

グレーに縦縞の新ユニフォームで初めて戦った選手たちが、気持ちよさそうにダイヤモンドを駆け回った。
太成学院大高である。

「3年前に亡くなられた元理事長が、野球を強化したいと熱心な方でした。その方の字体に変えようというところから、それならユニフォームを新しくしようと話が広がった」と仲辻宏之監督は説明する。

新しいユニフォームをまとい、チームの初戦ををけん引したのは1番の金山開(3年)だった。
1回の第1打席、枚方津田の先発・太田匠(3年)の2球目をたたきライト前へ運ぶ。後続の打者で一つずつ進塁し、4番山﨑賢剛(3年)の二塁打で先制のホームを踏んだ。
2回には一死一、二塁で第2打席。3ボール1ストライクからの5球目をレフトへ運ぶ3ラン。
4回の第3打席こそショートライナーに倒れたが、5回にはタイムリー、7回には三塁打でそれぞれ打点を挙げた。
終わってみれば5打数4安打6打点。

「1番を打たしてもらっているので、塁に出て勢いをつけたかった」と役割を果たせたことを喜んだ金山。
新ユニフォームについては、「他のチームの選手からもかっこいいと言ってもらえた。気持ち良かったです」と誇らしげに胸を張った。

ストライプ状のユニフォームは、遠目にはオリンピックの日本代表のものをイメージしているように見える。
しかし、近づいてみると少し違った。
「JAPANのものは二本線なのですが、ウチは三本線なんです。選手、保護者、スタッフが三位一体になるという願いをこめてそうしました」と仲辻監督は話した。

大阪大会のパンフレットに載る大会への抱負は、『For The Teamで甲子園!!』

三本線のように気持ち一つに、初の甲子園出場を目指す。


一方、敗れた枚方津田にとっては、悔しすぎる終わり方となってしまった。

1対10。3点以上を返さなければ点差によるコールドゲームとなってしまう7回裏に、一挙4点。
「まだまだいける」とナインは盛り上がった。
しかし攻撃中から激しく降っていた雨。審判団はゲームの中断を宣告し、36分後に無情の「ゲーム」という声が球場に響いた。
中断中に応援合戦を繰り広げていた両チームのスタンドが、一瞬にして静まり返り、聞こえてくるのは嗚咽だった。
野球は9イニング。あと2回。雨を恨む気持ちは双方の選手にあった。
球場の外に出て、応援団やクラスメイトの女子生徒、先輩たちの顔を見てさらに涙があふれていた枚方津田のナイン。3年生のとっては高校野球最後の大会。それがこんな形で終わるとはという気持ちが今はあるだろう。

一生忘れることはできない夏になっただろうが、5年後、10年後にこの夏のことを笑って語り合える時は必ず来る。
でもそうするためには、高校野球卒業後のこれからが大事なのだということを頭においてほしい。

戦えなかった残り2イニングで逆転できるかどうかは、これからの人生にかかっている。

勝った太成学院大高は自チームのミーティングで、「野球は9回までと小さい時から教わってきたよな。相手は、これで夏が終わりなんだぞ。もし自分たちがその立場だったどういう気持ちになるか考えてみろ」と首脳陣が話していた。
敗者の夏にかけた思いも背負い、勝者は次の戦いに臨む。

スターティングメンバー
太成学院大高
6金山開
4坂本剛
9河合将利
7山﨑賢剛 
2原貴保 (主将)
8山地将馬
3坂本祐大
6上中野大貴
1和田涼吾

枚方津田
9石村一馬 (主将)
4端将宏
3江口智裕
9進拳太朗
8井上渡
5宮崎拓真
6中村健太
2石橋諒太
1太田匠

(文=編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.05.23

春季関東大会でデビューしたスーパー1年生一覧!名将絶賛の専大松戸の強打者、侍ジャパンU-15代表右腕など14人がベンチ入り!

2024.05.22

【宮城】仙台育英は逆転勝ち、聖和学園が接戦を制して4強入り<春季県大会>

2024.05.22

【北信越】帝京長岡の右腕・茨木に注目!優勝候補は星稜、23日に抽選会

2024.05.22

【秋田】明桜と横手清陵がコールド勝ちで4強入り<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.04.23

床反力を理解しよう【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?