測定は条件を揃えよう
なるべく測定条件をそろえた上でデータをとるように心がけよう
皆さんはチームでときどき体力や形態測定などを行っているでしょうか。特に走力は比較しやすいデータとして他校の選手たちや、時には他競技(陸上など)の選手たちのデータを見て驚くこともあると思います。測定データはわかりやすいものではありますが、それぞれが測定した条件は異なっているため、あくまでも参考程度ととらえましょう。
中には野球選手でも50mを5秒台で走る選手もいますが、ストップウォッチによる誤差やスタートの仕方によっても数値は変化します。同じ条件下で行ったチーム内の測定値としては信頼できるものですが、これを例えば陸上競技の選手との比較に使うにはサーフェス(トラックとグランド)も違うし、スタートや測定方法(ストップウォッチによる測定か、光電管を使った測定なのか)なども変わってくるため、安易に比較することはできないものと考えるのが一般的です。
その上で、チーム内で行う測定についてはなるべく測定条件を一定に保つことで、より誤差の少ない測定値を得られることが可能です。細かいことを言うとキリがないのですが、午前中に行うか午後に行うかでも違いますし、ランニングシューズとスパイクでは測定値に変化が出ることは理解できると思います。大切なのは、毎回測定を行う時に「同じ条件にそろえる」ことです。前回、ウォームアップ後に走力測定をしたのであれば、今回も同じようにウォームアップ後に行う。ストップウォッチを用いた測定であれば、毎回同じ人(コーチやマネージャーなど)が測定を行うことによって誤差を少なくすることが期待できます。
トレーニングコーチやトレーナーといった専門家は測定データの誤差を少なくするために、測定方法だけではなく測定の順番なども考慮して計画を立てます。筋力測定の前に周径囲を測定する(筋力測定後は筋肉がパンプアップして数値が大きくなりやすい)、心肺持久力の測定は一番最後にする(心肺持久力の測定後は疲労が蓄積してよいパフォーマンスが出にくい)といった具合です。皆さんも測定を行う際は、なるべく条件をそろえた上で信頼できるデータが得られるようにしてみてくださいね。
文:西村 典子
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