智辯学園出身・村上は、ソフトバンク投手のように出世できるか
高校時代の村上 頌樹(智辯学園出身)
今シーズンの阪神は一軍だけではなく二軍でも首位争いを演じている。7月30日からはウエスタン・リーグだけではなく、ファーム新記録となる18連勝をマーク。9月21日終了時点で2位のソフトバンクと0.5ゲーム差で首位となっており、その行方が注目されている。
そんな阪神二軍を支えているのが村上 頌樹だ。智弁学園時代には甲子園で優勝を飾った右腕は、東洋大を経て2020年ドラフト5位で阪神に入団。一軍では2試合の登板で防御率16.88とプロの洗礼を浴びたが、二軍では10勝1敗、防御率2.23の好成績を残し勝ち星と防御率のランキングでトップを走っている。二軍でタイトルを獲得し来シーズン以降の飛躍へと繋げたいところだろう。
さて、ウエスタン・リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得した選手は、それ以降に一軍で結果を残すことができているのだろうか。2010年から2020年までのタイトルホルダーを振り返ってみたい。
11人のタイトルホルダーの中では千賀滉大(ソフトバンク)の存在がひと際目立つ。2010年育成ドラフト4位で蒲郡からソフトバンクへ入団した千賀は、2年目の4月に支配下登録を勝ち取った。同年、一軍では2試合の登板にとどまったものの、二軍では21試合に登板し7勝3敗、防御率1.33の成績で最優秀防御率のタイトルを獲得。翌2013年には一軍で51試合に登板しているがその足がかりを作った。
2015年には岩嵜 翔(ソフトバンク)が最優秀防御率のタイトルを獲得した。2007年高校生ドラフト1巡目で指名を受け、市立船橋高からソフトバンクに入団した右腕は、1年目から一軍で登板し2014年までに115試合に登板していた。
しかし2015年は一軍で結果を出せず、二軍生活が長かった。そのなかで10勝2敗、防御率1.66の成績で最多勝と最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得。翌2016年からは再び一軍に定着し、中継ぎに軸足を移した2017年には最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。
この2人に代表されるように11年間でソフトバンクから5人の選手が、ウエスタン・リーグで最優秀防御率のタイトルに輝いている。そんなソフトバンクの次に多い4人のタイトルホルダーを輩出しているのが阪神だ。しかしその実情は厳しい。
阪神は、鄭凱文(阪神/2011年)、白仁田寛和(阪神/2013年)、二神一人(阪神/2014年)、福永春吾(阪神/2018年)と4人が最優秀防御率のタイトルを獲得したが、いずれも一軍では結果を残すことができなかった。
今年、村上は最優秀防御率のタイトルを獲得し、その上で来シーズン以降一軍で結果を残すことができるだろうか。その投球に注目したい。
<ウエスタン・リーグ最優秀防御率>
2020年(防御率2.53)大竹耕太郎(ソフトバンク)
2019年(防御率3.02)中田賢一(ソフトバンク)
2018年(防御率3.80)福永春吾(阪神)
2017年(防御率2.10)阿知羅拓馬(中日)
2016年(防御率1.49)山田大樹(ソフトバンク)
2015年(防御率1.66)岩嵜翔(ソフトバンク)
2014年(防御率2.02)二神一人(阪神)
2013年(防御率2.17)白仁田寛和(阪神)
2012年(防御率1.33)千賀滉大(ソフトバンク)
2011年(防御率1.72)鄭凱文(阪神)
2010年(防御率2.86)岩田慎司(中日)
※数字は2021年9月21日終了時点
(記事:勝田 聡)