Interview

1年から名門・智辯和歌山の4番に座る徳丸天晴。目指すは高校通算50本塁打

2020.03.13

 強打の智辯和歌山の中で1年春から4番に座るスラッガー・徳丸天晴。小学校時代は、阪神タイガースジュニアに選ばれ、大阪東ボーイズでは通算22本塁打を放つほどのスラッガーまでに成長。

 智辯和歌山に入学してから中谷仁監督に見込まれ、4番に座り、1年夏から甲子園出場。現在、高校通算10本塁打を放っている長打力だけではなく、最速140キロを計測するという抜群の強肩も持ち味な強肩強打の大型外野手だ。そんな徳丸の歩みや最終学年の目標を聞いた。

なぜ1年春から4番打者として起用されたのか?そのエピソードも紹介

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徳丸天晴(智辯和歌山)

 自主練習のこと。徳丸は竹バットでロングティーを行い、打席に立ったライト線から次々とセンターフェンス近くまで飛ばす。その打球は高い弾道でスラッガーとうかがえるものだった。

「下半身の安定性を求めています」と語るように、振り出しからフォロースルーまで無駄のない打撃フォームだった。

 小学校3年生から野球を始めた徳丸。その能力は大阪府内から知れ渡り、小学校6年にはタイガースジュニアのセレクションを受ける。このセレクションには、三次テストまであり、まず一次テストでは遠投、50メートルを行って、絞っていき、その後、実技に入っていき、最終的に紅白戦を行い、代表18名が決まる。徳丸は見事、厳しいテストを勝ち抜き、見事、タイガースジュニアに選ばれ、代表選手となった。

 ここで学んだことは大きかった。

「当時コーチだった中谷さんから普段の返事や態度。人として正しい生活行動、考えを教えていただきました。そういう言葉が印象に残ってきて中学でも生きてきたかなと思っています」

 中学では大阪東ボーイズに進み、投手・外野手を兼任し、4番打者として活躍。中学1年生の時は165センチだったが、みるみる身長が伸びていき、中学3年には183センチまでに成長。この時、右の強打者たちの映像を見ながらフォームを固め、中学2年間まで10本塁打ぐらいだったが、中学3年から一気に10本以上を放ち、中学通算22本塁打を放った強打者として活躍する。また投手としても、最速138キロをマークする本格派右腕として注目を浴びていた。

 智辯和歌山に進むきっかけは中谷監督の存在だった。

「中谷さんから教えられたことは自分の考えに生きていることはかなりありましたし、実際に声もかけてもらって、またグラウンドまでいって見学するうちに智辯和歌山に行きたいと思うようになりました」

 こうして智辯和歌山の入学が決まった。

 そして高校入学してすぐの明石商との練習試合で4番として起用される。徳丸としても驚きだった。

「第1試合で代打で安打を放ったので、4番として起用されることになりました」

 中谷監督は「あのときは東妻(純平)が不調でしたし、また東妻が4番タイプということなかったので、タイミングが良いと思って変えることを決めました」

 徳丸は4番で起用された試合で左腕投手から試合終盤に逆転3ランを放つ。次の龍谷大平安との練習試合でも4番打者として起用され、12打数6安打。6安打のうち長打は4本と活躍を見せる。

 この打撃を見て、中谷監督は「2,3年生で東妻以外に適任と思える選手はいなかったこと。また徳丸には4番で試したいと思わせるスケールの大きさ、スイングの速さがありました」と徳丸の4番打者起用を決める。

[page_break:1年の経験を残り2年間で生かす]

1年の経験を残り2年間で生かす

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徳丸天晴(智辯和歌山)

 1年春の県大会から4番起用され、近畿大会では3打数1安打、夏の甲子園では12打数3安打に終わった。徳丸自身、満足いかないパフォーマンスが続いた。ただ徳丸はその経験を前向きにとらえていた。

「甲子園では全然よくなかったです。でも奥川(恭伸)さんのような投手と対戦できたのは本当に良い経験でした。奥川さんは今まで見たことがないような剛速球、キレのある変化球を投げる投手でした。そういう投手と対戦したこともあり、自分は他の1年生にはない経験はできたと思います。ただこの経験を生かすのは自分次第です」

 1年秋でも4番打者を務めたが、1本塁打8打点、打率.276。悪い成績ではないが、徳丸のポテンシャルの高さからすると物足りなさを感じる。その1本塁打は春以来となった智辯学園戦で放ったもの。その1本も「自分にとって良いスイングではなかったですし、引っ張り傾向で、ぜんぜん良くなったです」と反省の弁を繰り返した。

 この冬は「軸のブレが少ない安定したフォーム」にこだわって素振り、ロングティーを行ってきた。強打者の映像を見るのが好きな徳丸は広島東洋・鈴木誠也二松学舎大附)、レイズ・筒香嘉智横浜出身)、ジャッジ(ヤンキース)の映像を見て分析している。特に鈴木やジャッジは同じライトを守る強打者として影響を受けている。自慢の強肩は投げれば、140キロを超える。スローイングを修正しながら、刺せる外野手を目指してきた。

 二度目の甲子園でプレーすることはかなわなかったが、最終学年まで高校通算50本塁打を目指す目標ということは変わりない。智辯和歌山の真の4番にふさわしいスラッガーになるために。徳丸の挑戦は続く。

(記事=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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