試合レポート

3回戦 藤枝北 vs 常葉橘

2023.07.22


常葉橘、背番号5の木下投手が藤枝北を3安打完封で4回戦へ

<第105回全国高校野球選手権静岡大会:常葉橘6-0藤枝北>◇21日◇3回戦◇県営草薙

昨秋の県大会では準優勝を果たしている常葉橘。しかし今春は、県大会の2回戦で掛川西に敗れてしまってノーシードとなった。とはいえ、チーム力はある。この夏は初戦で浜松太平台を下し、2回戦ではシード校でこの大会でも優勝候補に挙げる声もあった静岡に競り勝っている。平成20年代には夏3度の甲子園出場も果たしている。

そんな常葉橘に挑む藤枝北は、秋季大会は勝ちに恵まれず、県大会進出を逃している。しかし、その悔しさをバネにしながらチーム力を高めてきて、この夏は富岳館浜松城北工を下しての3回戦進出となった。3年生7人の集大成、それを2年生12人、1年生8人とマネージャー4人が一丸となって、ベスト8以上を目指していきたいという思いである。

試合後の常葉橘の片平恭介監督は、開口一番、「木下が粘ってよく投げてくれた。とにかく、いけるところまでは行こうということで送り出したのですが、まさか、完封するとは思っていませんでした」と、先発マウンドに送り出した、背番号5の2年生・木下 瑞貴投手(2年)の粘りの投球には驚きと喜びが溢れていた。

常葉橘が勢いづいたのは2回、1死走者なしという場面で飛び出した6番・長谷川 悠外野手(3年)の右翼への一発だった。とらえた瞬間に入ったかなと思わせる打球で、しかもフォロースルーがとてもスムーズだった。春は、2番を打っていたという選手だが、ミート感覚がいいのだろう、ピシャリと打球を捉えていた。次の打席でも、2点目をたたき出す右前適時打を放っていた。

4回の常葉橘は、さらに木下自らの犠飛と、続く8番・菊川 悠真内野手(1年)の左前適時打も出てこの回3点。

さらには7回にも、藤枝北の目まぐるしい交代で延べ7人目、実質5人目となる岡本 颯投手(2年)に対しても、内野安打と失策、バントで攻めて、3番・望月 大和捕手(2年)の右中間二塁打で5点目。続く花房 巧基内野手(3年)も中前へ適時打を放って6点目を奪った。

それでも、藤枝北も、何とか守っていこうという姿勢を示して、あと1点を与えることなく、コールドゲームとなるのを回避したのは立派だった。こういう流れになると、えてしてズルズルといってしまい、どこかで大きな失策が出てしまい大量点を許してしまうということになりがちなのだが、それを堪えたというのは、日ごろの練習姿勢がいいということでもあろうか。

藤枝北打線は、結局木下に対して3安打しか奪うことができなかった。チャンスらしいチャンスもほとんど作り切れず、三塁に走者が進んだのも5回の1度だけだった。また、6回には連打で勢いづくかと思われたが、そこもしっかりと後続は抑えられた。

木下は驚くような球威があるわけではないのだが、生命線でもある制球が素晴らしい。この日も5回に死球を1個与えてしまってはいたが、四球はなし。序盤はファウルで粘られることもあったが、リズムに乗ってきたら早いカウントで打たせていく投球も心掛けていた。8回には打者として中前打も記録しているし、4回には、大事な場面で犠飛を放っている。打者としてのセンスもよさそうだ。今後、どういう形で成長していくのか、楽しみな2年生でもある。

取材=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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