試合レポート

美里工vs八重山

2013.07.20

観ている者全てを驚嘆させたビッグイニング

春季県大会、準決勝で真和志に敗れるまでの5試合で防御率0.89だった池村英隆。決勝進出が懸かるこの大事な試合で先発し7回を終えてジャスト100球。被安打僅か1本で6奪三振1四球と、まるで美里工打線を借りてきた猫のように打ち取る姿に、春の凄味が復活したかのようなピッチングだった。

25年振りの決勝へ!八重山が最高のスタート

美里工の先発は大仲潤。これまで55人の打者に対し僅か4本しかヒットを打たれてないが、一方で与四死球率は6.09を数える。その悪癖はこの日も顔を覗かせる。

先頭打者と次打者に連続死球を与えてしまい、犠打で一死ニ・三塁。ここで打率.429の大浜雅史がベンチの期待に応えセンター前タイムリーヒットで先制すると、3回にもライト前へのヒットと、大仲自身のお手玉エラーで無死一・二塁とし、犠打で初回と同じく一死ニ・三塁と攻めたて、再び大浜が今度もセンターへ抜けようかという当たり。しかしショートが抑えて打者走者はアウトにするも三塁走者が生還して2点目。さらに続く比嘉優太がレフト前へ弾き返し3点目が入った。

先述した通り、八重山先発池村は7回を終えるまで内野安打1本に抑えるピッチング。8回表もツーアウトランナー無し。これまでの終盤で数々の得点を産んできた美里工打線と言えども、今度ばかりはこれまでか、と言われても仕方ないような池村の出来でもあった。だがーーー

[page_break:怒涛の長短六連打!とどめは主将のホームラン!]

怒涛の長短六連打!とどめは主将のホームラン!

ツーアウトとなった美里工は代打に比嘉恵次郎を送ると、アウトコースに逆らわず一・二塁間を抜くヒット。これが美里工打線の起爆剤となる!神田大輝がレフト前で続くと、西蔵當祥の当たりはレフト線へポトリと落ちる2点タイムリー!さらにワイルドピッチと死球で塁上をためると宮城諒太がレフト前へタイムリー。さらに松堂正が初球を同じくレフトへ持って行きなんと逆転に成功。そしてとどめは主将高江洲大夢!甘く入った球を振り抜くと打球はグングン伸びてセンターの頭上を襲った。思い切って三塁を蹴った高江洲が一気に生還する3点ランニングホームラン。ツーアウトからの、死球を挟んだ怒涛の長短六連打で池村と八重山の息の根を止めたのだった。

美里工は二番手の天川翔が、アンダースロー特有の遅球を上手く使い、八重山打線の打ち気を利用して3イニングをヒット2本、無失点に抑えると最後の2イニングは、最速138kmと池村に勝るとも劣らない伊波友和が登板し、得点を許さず19年振り2度目の決勝進出を決めた。

池村という大黒柱を擁して25年振り2度目の決勝進出を目指した八重山ナインだったが、健闘及ばずここで姿を消してしまった。

(文=當山雅通)

八重山   TEAM   美里工
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
遊撃 宇根和孝 1番 中堅 神田大輝
右翼 志喜屋勉紀 2番 遊撃 西蔵當 祥
二塁 西平奎太 3番 左翼 島袋 優
三塁 大浜雅史 4番 一塁 宮城諒太
左翼 比嘉優太 5番 右翼 松堂 正
中堅 東長田裕太 6番 三塁 高江洲大夢
一塁 具志堅興羽 7番 捕手 與那嶺 翔
投手 池村英隆 8番 投手 大仲 潤
捕手 高良吉宗 9番 二塁 内間幹也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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