古仁屋vs鹿屋農
5年ぶりの夏勝利・古仁屋
驚異的な粘り強さを発揮した古仁屋ナインが、劇的な逆転劇で5年ぶりとなる夏1勝を手にした。
幸先よく2点を先取しながら、中盤ミスが絡んで逆転され、走者を出しながらも追加点が取れない苦しい展開だった。七回には先頭の2番・貞宏樹(3年)が内野安打で出塁し、ランエンドヒットを仕掛けるも盗塁失敗。、敗色ムードがいよいよ濃くなったが、八回二死無走者から、エラーと四球でつなぎ、途中出場の泰隆博(3年)のタイムリー、貞の走者一掃ライトオーバー三塁打で試合をひっくり返した。
振り返ってみれば、選手の成長が序盤からプレーで随所に出ていた。一回裏は龍元圭介主将(3年)がレフトからの好返球でホームアウトをとった。七回表の攻撃を失敗した裏の攻撃では、先頭打者の三遊間を抜けそうなライナーの打球を三塁手・與島朋浩(2年)がダイビングキャッチ。相手に流れを渡さなかった。
八回二死からエラーと死球でチャンスを作り、六回からリリーフに上がったエース泰が外角に大きく外れた変化球を左手一本で中前に弾き返し、試合を振り出しに戻した。マウンドではチェンジアップや縦のスライダーなどを有効に使い、粘りの投球で追加点を許さなかった。八回裏二死一二塁の場面では、意表を突く一塁けん制でピンチを脱するファインプレーもあった。
貞の走者一掃勝ち越し三塁打で、全員が喜びを爆発させ、最終回には捕手・南優生(2年)が三塁側の小飛球を執念のダイビングキャッチ。打線で貢献できなかった分、投球と守備でチームを盛り上げた。
試合終了後は、フェリーの時間が迫っており、汗を拭く間もなく球場をあとにした。
「まだ帰りたくない!」
誰もが高揚感が抑えられなかった。
(文=政 純一郎)