試合レポート

二松学舎大附vs都立文京

2013.04.14

二松学舎大附vs都立文京 | 高校野球ドットコム 

文京・大塚君

「わかっていたのに…」ラン・ダウン・プレーの鉄則を守れなかった文京に悔い

少しでもまともに野球をやっていた者ならば、誰もが鉄則として頭に叩き込まれていることはいくつかある。「ラン・ダウン・プレーは若い塁へ走者を追い込んでいくこと」これもその一つである。
ミーティングでも何回も言われ、走者を置いた実戦練習でも厭になるくらいに反復練習して叩き込まれるものである。だから、イメージとしても、走者は後ろの塁へ追いかけていくべきだということは描いているはずである。

ところが、これが公式戦の場でのプレーとなると、思わず先の塁へ追ってしまい、追いすぎて先に行かしてしまうということが起きると、ダメージは大きい。野手にとっても悔いが残る。初回の都立文京には、そんなプレーが出てしまい、結局それが致命傷となってしまった。

三者凡退で攻撃を終えた初回の都立文京の守り。投手の大塚君が注目されており、調子が悪くなければ、僅差の競り合いになることが予想された試合である。初回の守りは慎重に行きたいところである。

 

ところが、二松学舎大附の先頭上田君はいきなりセンター前ヒット。内野ゴロであっさりと二塁へ進んだ。そして3番小峯君の打球はショートへの強い当たりのゴロ。飛び出した上田君が二、三塁間に挟まれたが、打者走者も二塁へ達しかかったところで、都立文京内野陣は再び三塁方向へ追ってしまった。上田君は懸命に逃げて、三塁まで走ってセーフ。結果的に二死二塁になるはずが一死二、三塁。二塁ベース上で二人が重なったとしても、どちらかをアウトにできたはずである。それだけに、このダメージは大きい。

大塚君も、ここで抑えなくてはと力んだところもあったのか、やや球が上ずって連続四球で押し出し。なおも満塁で、6番宮本君は初球を叩いて左中間へ運んで二者を返した。こちらは、「四球の後のファーストストライクを叩け」の鉄則通りのバッティングだった。この3点は、少なくとも試合の流れを完全に二松学舎大附にもたらすことになった。


二松学舎大附vs都立文京 | 高校野球ドットコム 

二松学舎・大貫君

 試合後には、都立文京の市川幸一監督も、
「あれ(ラン・ダウン・プレー)で、がっくりしてしまって、そこで長打では、こっちはどうしようもない」
と、悔いた。

それくらいに、ただ単に点を失ったということだけではなく、「練習でやってきたことがやれなかった」という悔いもあって、精神的にも下がっていっていたという状況は否めない。

2回にも二松学舎大附は四球の走者をバントと内野ゴロで三塁まで進めると、ここで暴投があり無安打で追加点を挙げた。こうなると、二松学舎大附としては楽に試合を運んでいくことができる。

先発の左腕・大貫君は、見た目の迫力はそんなにあるわけではないけれども、右打者の内側に食い込んでくる、いわゆるクロスボールを中心として、自分のリズムでの投球ができていた。5回にスクイズで1点を失ったものの、内容としては十分に及第点だった。

8回にも7番石黒君がレフトへソロ本塁打を放つなどでさらに2点を追加した。二松学舎大附としては、先制→中押し→ダメ押しと、ほぼ理想的な得点の仕方で終始自分たちの試合展開だった。

市原勝人監督も会心の試合に近いものだったという表情で、「相手の投手が非常にいいということだったので、厳しい試合になるかなと思ったのですけれども、初回にラッキーな形で点が入って、自分たちの野球ができました」とイメージしていた以上の試合展開となったようだった。

例年に比べると、いくらか小粒かなという印象も与える今年の二松学舎大附だが、「今年は、機動力も使えますし、面白いチームになっていけると思います」と市原監督も自信を漲らせていた。

ベスト8を前に敗退した都立文京の市川監督は、シード権こそ獲得することはできたものの、「何とかもう一つ上へ行きたかったですね。やはり、16とベスト8では全然違いますからね。都立校としては、特にその差は大きいですよ」と、都立校としても単独のベスト8を逃したことを悔いていた。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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