鹿屋工vs鹿児島高専
村山隆磨(鹿屋工)
「成長」が試される・鹿屋工、試練の春・鹿児島高専
鹿屋工は、好投手・下吉智陽(3年)を擁するシード鹿児島高専に序盤で集中打を浴びせて快勝。吉田公一監督は「今大会は初戦の鹿児島玉龍戦から好投手のいるチームとの対戦が続いて、自分たちの成長が試される大会。良い集中ができていた」と振り返った。
甘い球はファーストストライクから積極的に打っていく。チームコンセプトがはっきりしていた。初回に4安打打者一巡の猛攻で4点を先取すると、3回までに8点を挙げて主導権を握った。秋の県大会4試合で5失点の好投手を相手に序盤で畳み掛けることができた。5回以降はスローボールの変化球主体の2番手・今村太政(2年)を打ちあぐね、追加点を奪えなかった。スローボールに対して打ち急ぎ、12アウト中10がフライアウトと積極策が裏目に出たが「最終的には対応できるようになるのが理想だが、今の時期はやってきたことを徹底して貫くことを大事にしたい」(吉田監督)。
エース村山隆磨(3年)は「相手はシード校なので挑戦者の気持ちと、気を抜いたら流れをもっていかれるので、流れを相手にやらない投球」を心掛け、立ち上がりから全力で飛ばした。6回にエラーがらみで2点を失ったが、それ以外の回はほぼ完ぺきな投球でつけ入るスキを与えなかった。同じ大隅地区の尚志館が甲子園で勝ったことも大きな刺激になっており「5月のNHK旗に出られれば直接試合して勝つチャンスがある。まずはこの大会でNHK旗の出場権をとる」と明確な目標ができた。初戦の鹿児島玉龍戦に続き、「自分たちでもやれる。鹿屋工の存在感を示す」(吉田監督)春は順調に2勝目を挙げた。
[page_break:鹿児島高専にとっては試練の春]鹿高専・下吉
シード鹿児島高専にとっては試練の春となった。
昨秋の快進撃の原動力だったエース下吉智陽が3月の練習試合解禁直後に腰痛を発症。大会までブルペンに入ることもできず、「ぶつけ本番」(下吉)で臨んだ。腰の負担を減らすためにセットポジションから、ストライク先行の投球を試みたが、ごまかしの投球で抑えられるほど甘い相手ではなかった。9安打8失点、4回で降板。「自分のせいで負けてしまったことが何より悔しい。しっかり身体を治して、夏は自分が勝ちゲームの流れを作れる投手になりたい」と雪辱を誓っていた。
5回までは何もできずに一方的にやられるだけだったが、6回にエラーも絡んで2点を返した。田中智樹監督は「2番手の今村が持ち味を発揮し、少ないチャンスをものにするうちらしい野球も出せた。9回までできたことで、選手たちもまだまだやらなければいけないことがあると実感できた」と振り返っていた。
(文=政 純一郎)