試合レポート

北野vs茨木工科

2016.09.25

エース左腕が完投勝利。北野が8回に一挙4得点

北野vs茨木工科 | 高校野球ドットコム

投手・牧野斗威(北野)

 「夏は僕のせいで負けてしまったので秋は絶対に自分のせいで負けたくない」強い気持ちでこの大会に臨んだ北野のエース・牧野 斗威(2年)、茨木工科の初回の攻撃を3人で抑えるとその裏自らのバットで犠牲フライを放ち先制に成功する。前の試合、2回戦・大手前戦前には体調を崩して高熱が4日間続いたためまともに練習出来ず、ブルペン入り無しのぶっつけ本番状態で公式戦のマウンドに上がったがこの日の体調は万全。まとまりのある左腕のストレートが良く走っていた。

 好左腕と対峙した茨木工科は1点を追う3回、9番・内橋 勇大(2年)が安打で出塁するとこちらも先発の土原 宏太(2年)が自ら適時打を放ち同点とする。6回には併殺崩れの間に勝ち越しに成功。土原が6回を4安打1失点に抑えると、7回からはショートを守っていた荻ノ迫 睦輝(2年)がマウンドへ。代わり端にピンチを招くが併殺で切り抜け、8回には二死二塁から6番・吉田 蒼介(1年)がレフト前に適時打を放ち試合の展開上、ダメ押しとも思える大きな3点目を加えた。しかし、その裏2イニング目となった荻ノ迫がつかまってしまう。

 牧野、神田 昂輝(2年)の連打と浅野 伸弥(2年)の送りバントで一死二、三塁とされると、泉 竣哉(2年)を歩かせ満塁策を取る。同点の走者が得点圏にいても茨木工科の内野陣は下がっており後ろゲッツーを狙う。内野ゴロを打たせたかった荻ノ迫だが北野の7番・藤井 健太(2年)にも四球を与えてしまい、押し出しで1点差に。同点の走者が三塁に行っても内野の守備位置は変わらない。ヒットゾーンを広げるリスクを負うよりも同点まではオッケーの併殺打狙い。

しかし、前の回に代打出場しそのままセカンドの守備に就いていた松本 祐輔(2年)の打球はその内野の頭を優に越え、センター右で弾む。三走・神田が生還し土壇場で試合は同点に。そして、勝ち越しの走者が三塁に進んだことで茨木工科内野陣は前に出る。この場面で9番・長谷川 樹(2年)の放った一、二塁間への打球をセカンド・内橋が処理するが不十分な体勢からのバックホームは送球が逸れ、セーフ。勝ち越しを許してしまう。
「土原は初戦はまっすぐが走って最後まで押せてたんで完投させましたけど、2回戦の摂津戦では序盤から打たれて、交代した荻ノ迫が試合を作ってくれた。今日はボール自体は悪くなかったけど(北野打線と)合ってる感じがした。2、3回ぐらいから交代を考えてました。球威が落ちたり変化球が抜けるのが(交代の)サインなので。自信持って代えたんですが・・・」と大枝 聖也監督。ボール球を見極め、リードの仕方を何度も変えるなど足を使って揺さぶり8回表まで狙い通りにゲームをコントロールしていたが、逆転を許すと、この後さらにワイルドピッチで1点を失った。

 終盤で試合をひっくり返した北野は、最終回のマウンドに上がった牧野がそれまでにも増してストレートも変化球も目一杯腕を振る。一死から空振り三振を奪うと思わず小さくガッツポーズ。「序盤は上手に粘られたのと浮いたボールが多かった。でも粘り強く放ってくれて狙って三振取れていたので、そこは良かった」と小谷内 和宏監督も称える好投を見せた左腕は、最後の打者もライトフライに打ち取り試合終了。北野が苦しい試合をものにした。

(文・写真=小中翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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