武南vs上尾
146キロ右腕・布川雄大(武南)、上尾打線を速球で圧倒!
布川雄大(武南)
県大会は39チームしか出場しない。そのためどこも精鋭揃いなので、初戦から注目のカードが実現する。プロ注目右腕・布川雄大擁する武南と強豪・上尾の対決は1点を争う好勝負となった。
プロ注目の布川は187センチ83キロと堂々たる体格を誇る速球派右腕。この試合では最速146キロを計測したといわれるが、手元のガンでは常時135キロ~140キロを計測。だが、見た目以上にボールに勢いを感じさせる投手で、140キロ中盤を計測していた本田仁海(星槎国際湘南)、翁田大勢(西脇工)とひけをとらないボールを投げ込む投手だった。
投球フォームを見ると、左足を豪快に上げてから、インステップ気味に踏み込んでいき、内回りのテイクバックから、オーバースローで強い腕の振りができるのが最大の強み。インステップ気味で、打者寄りでリリースすることができているので、打者からすればマウンドが近く感じる投手だと考えられる。序盤はまだ自分の思い通りのストレートを投げられず、当てられることが多かった布川。4回表に6番坂巻の左前適時打で1点を失う。
打線は5回裏に二死二塁から1番松岡の適時打や相手の敵失の間に逆転に成功する。
この逆転により気分が楽になったのか。布川は6回以降から調子を上げていき、130キロ後半~140キロを計測することが多くなった。そうなると、布川の速球にくらいついていた上尾打線もなかなか打球を前に飛ばすことができなくなっていた。特に8回以降はフォーム全体に躍動感が出て、角度があり、破壊力を兼ね備えたストレートで上尾打線をねじ伏せた。
布川は1失点完投勝利で、2回戦進出を決めた。終盤になるほど球速は上がっており、この馬力の大きさは、今年の関東の右腕ではなかなか見られない。今年のドラフト市場は投手が不足しており、継続的にマークすべき投手であることを示した。
敗れた上尾は、エースの酢谷 樹平はなかなかの好投手で、右スリークォーターから投げ込む直球は120キロ後半~133キロを計測。下半身主導のフォームからキレのあるストレートを投げ込んでおり、スライダー、カーブのキレの精度も高く、夏へ向けて進化が期待できる投手だ。
選手たちを見ていても活気があって、安打が出るごとに大きく喜びを表すスタイルを見せる上尾。布川を打ち崩すことはできなかったが、選手たちのスイングを見ると、県内でも高いレベルに達しているチーム。プロ注目の投手と戦った経験が夏につながることを期待したい。
(取材・写真=河嶋宗一)
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